「結果ではなくプロセスを」児童精神科・渡辺久子先生が伝える、もう一度見直したい親と子の関係
2015年11月14日
コラム思春期を迎える子どもが、ホッとする親になるためにはどうすれば良いのか。今回は『思春期の子のこころがわからなくなったときに読む本』の著者である渡辺久子さん(児童精神科医)の言葉を一部抜粋して紹介します。
(著●渡辺久子(児童精神科医) 写真●編集部)
『思春期の子のこころがわからなくなったときに読む本』より一部転載
「親は子どもが本当にやりたいことを見つけるサポートをしよう」
多くの人は、勉強でもスポーツでも、思春期にどれだけの成果をあげ、結果を残せるかが、その先の人生を左右すると考えがちです。でも本当は思春期は成果など出なくてもいいのです。長い人生でみれば、思春期は本番のための準備期間。その準備期間でたくさん失敗し、手探りしながら進んでいくプロセスこそ、自分の力で生きていく土台になります。
海外でも、親は子どもに「勉強しなさい」と言いますが、「このランクの学校に行かなかったら、親として恥ずかしい」という発想はないようです。私は日本の母親たちが、そこまで世間体を気にし、世間に追いつめられていることが気の毒でなりません。自分自身が自分の親に対して親離れができていないために、世間を怖いと感じるなら、ここで少し勇気を出して、わが子の人生は本人の判断にゆだねてみてはどうでしょう?
子どものときに子どもとして自分を生きてこないと、外は大人でも内面は大人になりきれません。そういう大人が増えています。
その成熟しきれていない大人たちは、自分が親にされて嫌だったことを無意識に子どもに対して繰り返してしまいます。「私はお母さんに勉強ばかりさせられて嫌だった」と言いながら、「わが子の受験のためにがんばっています」というお母さんたちがたくさんいます。自分がされて嫌だったのなら、自分の子どもにはしなければいいのに、自分の考えに確証が持てないので、同じことをしてしまうようです。
子どもたちが親の側にいてくれる期間は10歳からの5年間ほど。この時期に親が子どもに無理をさせていい学校に入れたとしても、本人が自分でそれを選択していないかぎり、後々、成績がどんどん落ちていったり、就職のときに失敗して、親を恨んでひねくれてしまい、惨めな人生を送ったりします。どちらにしても、親の押しつけの結果、ハッピーになることはないようです。
親のエゴが子どもを幸せにすることはありません。子どもの本当にやりたいことをやらせるのが思春期の子育てだということを忘れないようにしましょう。

<関連リンク>
・思春期の子育ては親子の関わりをみなおす時期
・思春期に変身する子どもの“ありのまま”から逃げない
・児童精神科医・渡辺久子先生が伝える『睡眠』の重要性
・児童精神科医・渡辺久子先生「思春期の食事が“人生の骨密度”を決める」
・「10歳からの5年間は、子どもを可愛がる最後の時期」児童精神科・渡辺久子先生が語る思春期の子どもとの接し方
プロフィール
著者:
渡辺久子
児童精神科医。1984年、東京生まれ。慶應義塾大学医学部卒業後、同小児科助手、同精神科助手、小児療育相談センター、横浜市民病院神経科医長を経て、ロンドンのタビストック・クリニック臨床研究員として留学し、精神分析と乳幼児精神医学を学ぶ。2014年に世界乳幼児精神保健学会賞を受賞する。

【商品名】思春期の子のこころがわからなくなったときに読む本
【発行】株式会社カンゼン
【著者】渡辺久子(児童精神科医)
四六判/176ページ
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