もう一度考えたい親と子の関係。「子どもの人生に何かを期待するのはやめよう」
2015年11月22日
コラム思春期を迎える子どもが、ホッとする親になるためにはどうすれば良いのか。『思春期の子のこころがわからなくなったときに読む本』の著者である渡辺久子さん(児童精神科医)の言葉を一部抜粋して紹介します。
(著●渡辺久子(児童精神科医) 写真●編集部)
『思春期の子のこころがわからなくなったときに読む本』より一部転載
「子どもの人生は親のものではない。子どもの人生に何かを期待するのはやめよう」
わが子を通じて、自分の夢を実現しようとしている親が少なくありません。
“よい大学に入れたい”“素晴らしい才能を披露させたい”などの思いは、自分が果たせなかった夢や、親の期待にそえなかったことを子どもを通して実現しようとしているだけ。自分の後悔や不安を払拭するために、子どもに望む姿になってほしいという親のエゴでしかありません。もし、あなたがそうなら、今すぐに切り替えませんか?
「どうしてもAという学校に子どもを入れたい」というあるお母さんがいました。その理由を聞くと、「この学校はハワイに修学旅行に行くからです」と言います。「なぜ、ハワイに修学旅行に行かせたいの?」と聞くと「私がハワイが好きなんです」という答えが返ってきたので、「お母さんがご自身でハワイに行ってらしたら?」と伝えたことがありました。
これは極端な例ではありますが、同じようなことをじつに多くのお母さんがやっています。「この学校に行ってくれたら親として誇らしい」「せめてこれくらいの高校に行ってほしい」「専門性を追求するより、つぶしがきくところに行ってほしい」など、これらはすべてこのハワイ好きのお母さんと同じ動機です。
本人の進む道を親が決めていいのでしょうか? 私は長年、小児精神保健外来で子どもたちを診ていますが、日本の受験産業に踊らされ、親に生き方を押しつけられて、生きていくのが苦しくなった子どもたちがじつに多いのです。そんな結果を招いてしまうことは、親子にとって辛いことではないでしょうか?
それを防ぎたいのであれば、「子どもにこんな姿になってもらいたい」という希望を手放し、お母さんがまずは自分自身のやりたいことをやってください。お母さんがやりたいことをしていないから、代わりに親の人生を子どもが生きるようなおかしなことになっていきます。子どもの人生は親のものではありません。自分の人生と子どもの人生は切り離して考えましょう。

<関連リンク>
・思春期の子育ては親子の関わりをみなおす時期
・思春期に変身する子どもの“ありのまま”から逃げない
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・「10歳からの5年間は、子どもを可愛がる最後の時期」児童精神科・渡辺久子先生が語る思春期の子どもとの接し方
プロフィール
著者:
渡辺久子
児童精神科医。1984年、東京生まれ。慶應義塾大学医学部卒業後、同小児科助手、同精神科助手、小児療育相談センター、横浜市民病院神経科医長を経て、ロンドンのタビストック・クリニック臨床研究員として留学し、精神分析と乳幼児精神医学を学ぶ。2014年に世界乳幼児精神保健学会賞を受賞する。

【商品名】思春期の子のこころがわからなくなったときに読む本
【発行】株式会社カンゼン
【著者】渡辺久子(児童精神科医)
四六判/176ページ
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