サッカーで子どもの力をひきだす池上さんのことば辞典「セレクション」「プレイヤーズファースト」

2016年12月19日

コラム

<本日の言葉2>

レイヤーズファースト

【名詞】

選手第一主義。「選手が主役」の意
味で、昨今はサッカーに限らず他競
技でも強調されるように。例えばプ
レーの選択や練習、メンバー決めに
いたるまで選手に委ねる考え方。高
校生以上で具現化したものを「ボト
ムアップ理論」などと呼ぶ。

■池上さん解説■

「委ねる」意味を再確認しよう

 何がプレイヤーズファーストなのかを、今一度考えてみませんか。「選手に任せている、プレーの選択など自由にさせている」とおっしゃるコーチが、ひとたびピッチに出ると「こうだよね?」と自分の考えを前面に出すのは珍しい光景ではありません。特に、ジュニア世代は「いちいち教えないと子どもはわからないから」とオーバーコーチングになりがちです。

 高校生以上だと「コーチはこう言ったけど自分はこうする」と意思を持つこともできますが、小学生は素直な子ほど言われたとおりにしようとします。それでは子どもに任せたことになりません。

 つい先日、京都サンガでクリスマスカップという大会を行いました。3~4年生がチームごとではなく個人で集まり、知らない同士バラバラで8人のチームを作って試合をします。この大会の初めに、私はスイスサッカー協会がジュニアの試合の際に大人に配布するカードの文句を話しました。

「今日という日は、ぼくたちの一日です。
ぼくたちはサッカーを思う存分やろうと、喜んでここに来ています。
もちろん、誰だって勝ちたいにきまっています。
でも、一番大切なことは、プレーができる、ということです。
だからどうか、ぼくたちの思うようにプレーさせてください。
ピッチのそばで怒鳴らないで、相手チームのサポーターに対しても、フェアでいてください。
ミス・プレーをいちいち、なじらないでください。
ぼくたちはしょんぼりするだけで、何の役にも立たないからです。
以上、よろしくご理解ください。
 子ども一同」

 保護者もコーチもコートの中には入らず、フェンス越しに応援してもらいました。そうすれば、コーチングする人はいないからです。子どもたちは実に楽しそうに、のびのびとプレーしていました。


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【商品名】サッカーで子どもの力をひきだす池上さんのことば辞典
【監修】池上正
【著者】島沢優子
A5判/240ページ
⇒家庭、指導現場で実践。どうしたら伸びる? 悩んだら、この辞典を開け!


 

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