ドイツサッカー育成改革の根源。積極的な情報開示と“草の根”への投資
2017年01月23日
コラム指導者にとってより良い情報を提供することが大切
――ブンデスリーガクラブの育成アカデミーであれば、幼稚園児に対する指導者にもそれなりの評価はされているかもしれません。
「アカデミーでプレーする選手は全体のわずか0.8%だ。それ以外の子どもは普通のクラブでボールを追いかけている。だからこそ、それが我々にとって大きな課題なのだよ。
このカテゴリーにいる指導者に、可能な限りの育成指導の機会、練習に生かせる場を届けることができるかが重要なんだ。
積極的に情報を開示し、DFBのホームページであらゆるカテゴリーの人たちが利用できるトレーニングメニューのサイトを作った。少しでもいいトレーニングをしたいと思う指導者に、より良い情報を提供することが大切だ。我々はこの分野に本当に力を注いでいる。
だが、それでも十分ではないんだ。これは永遠に達成できないことなのかもしれない。このような問題は50年前から指摘されてきた。20年前も…そして、今もそうなんだ」
『世界王者ドイツの育成メソッドに学ぶ サッカー年代別トレーニングの教科書』中野吉之伴さんトークイベント開催
【商品名】
世界王者ドイツの育成メソッドに学ぶ
サッカー年代別トレーニングの教科書
【発行】
株式会社カンゼン
【著者】
中野吉之伴(ドイツサッカー連盟公認A級ライセンス保持者)
1977年7月27日生まれ秋田県出身。武蔵大学人文学部欧米文化学科卒業後、育成年代指導のノウハウを学ぶためにドイツへ。現地で2009年7月にドイツサッカー連盟公認A級ライセンスを取得(UEFA-Aレベル)。SCフライブルクU-15チームでの研修を経て、元ブンデスリーガクラブのフライブルガーFCでU-16監督、翌年にはU-16/U-18総監督を務める。2013-14シーズンは、ドイツU-19の3部リーグ所属FCアウゲンでヘッドコーチ、16-17シーズンから同チームのU-15で指揮をとる。
【書籍あらすじ】
長く世界トップの実力を誇ったドイツは、2000年の欧州選手権に惨敗。ただ数年前から低迷を続けており、その兆候はあったが、ずっと見て見ぬ振りをしていた。そこで、ドイツサッカー協会は低迷の理由を徹底的に分析し、育成年代の強化と改革に乗り出した。近隣国に勉強へ行き、育成プロジェクトを立ち上げた。以降、そのコンセプトを国全体が共有し、新たに年代別のトレーニングの指針を示した。さらにブンデスリーガの各チームに育成機関を義務化し、エリートシューレ(育成システム)を設置、シュツットプンクトの整備、グラスルーツからの指導者育成など……こうした成果が15年の歳月を経て、2014年のワールドカップ優勝につながった。こうしたドイツの成功事例は、日本の育成年代の指導者たちに参考になるはずだ。
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