「足の負担を少なくする動き方」ってどんな動き方? 体全体を使った動き方を学ぶ

2017年02月28日

コラム

「ゼロベース、骨盤を左右に上げる、足が前に出る」の繰り返し

「動くときに大切なのは、下半身を動かすのではなく、まず上半身を意識して動かすことです。そうすれば、人間の体は自然に行きたい方向が定まるから進むんです。極端な話、ゼロベースの姿勢で右に動きたければ左肩を右に引き上げたらいい。肩甲骨は動きの合図を出す役割も果たしているんです。基本姿勢のまま、肩甲骨を前後左右斜めに引き上げたら進みたい方向に足が出ていきます。これが『足に負担のない、体全体を使った動き方』です。

 実技講習会ではポイントを絞って指導しているので、みなさん最初は違和感を持たれているようですが、少し練習をして、これまでの走り方をやってもらうと『足が疲れる』とほとんどの方が口にされます。ようするに、足を使って動いている証拠なんです。

 動きの原理として順を追うと『上半身が骨盤に乗る → 骨盤(肩甲骨)を引き上げる → 同時に足が引き上げられて前に足が出る → その流れで、再び上半身が骨盤に乗る → 逆の骨盤(肩甲骨)を引き上げる …』という流れになります。

 例えば、速くなりたいからと足を大きく使って走る方がいますが、それではある程度のところまで速くなってもそれ以上は望めないでしょう。なぜなら、足を大きく前に出せば体をそこに進めるため、後ろ足に力を入れて一生懸命に蹴り出さないといけないので結果としてブレーキがかかった状態になってしまいます。実際に歩幅を限界まで大きく使って前に進んでみたら理解できます。

 当然、勢いがつけば歩幅を大きくなりますが、それは自然に起こることであって無理に意識してやろうとすれば体に無駄な力を使うことになり、かえって逆効果です」

 今回は、松井氏が指導する動きの基本的なことだけを書いた。もちろん、そこに付随することはまだたくさんあるのは言うまでもない。ただ強くうったえていたのは、足の力だけに頼った動きをしていればケガをする可能性があるということだ。だからこそ体の仕組みを理解した上で、基本的な動きをマスターしサッカーをプレーしてほしい。サッカーは前に進むだけのスポーツではないのだから。


プロフィール
松井 真弥
スペインで10年、日本で3年、プロクラブでトレーナーを務める。現在は鍋島整形外科で、体の使い方によるスポーツ障害の減少・パフォーマンスUP、さらに健康維持等の指導、操体法による身体のケアを行う。不定期で「足に負担をかけない動き方・体全体を使った動き方」講習会を開催中!

経歴
2000〜2010年 RCDエスパニョール・トレーナー(スペイン1部リーグ)
2011〜2014年 ベガルタ仙台・トレーナー
2014年〜   鍋島整形外科(千葉市)

ブログ
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