「育成は指導者の質がすべて」。大人たちが“余裕”を持つことの重要性/スエルテ横浜代表 久保田大介氏 編【短期連載】

2017年03月28日

コラム

スキルを上げるための練習時間は作れているのか

――ちなみにスエルテ横浜はどう試合を組んでいるんですか?

「知り合いのクラブなどに招待していただいたり、現在は神奈川にあるドイツ学園が主催している『レコスリーグ』というリーグに参加しています。そこには、私たちと同じような立場のクラブが集まっています。6年生は9人制で30分ハーフ、5年生は9人制で25分ハーフ、4年生は7人制で20分ハーフなんです。時間もピッチも年代に応じて適切に設定されているから“イケイケサッカー”では成立しないように運営側がちゃんと考えているんです。

 海外国籍で文化の違う子どもたちとサッカーができるし、応援する保護者の感覚も日本人とは全く違います。うちのクラブは毎週末試合のために追われているわけではなく、うまくなるための練習をしっかりとやれています。低学年は特にサッカーに必要な技術や戦術を指導できています。市の協会や地域の連盟に登録しているチームは毎週末試合をやっているから“サッカーの練習ができているのかな”と思う時があります。8人制も11人制のピースの中にあるからスキル向上の点でいえば少し矛盾を感じます」

――自分のクラブの選手たちに何か違いを感じますか?

「ジュニアユースの指導者の皆さんからは『スエルテさんの選手はアクセントになるんだよね』とお褒めの言葉をよくいただきます。6年間じっくり育てていると自負しているので、おそらく試合に追われるルーティンになったらサッカーに必要なスキルを身につけられなかったと思います。リズムの違い、違う視点、自由な発想……そこが少し違うのかなと。

 うちの選手たちにとってサッカーは映画を見に行く、海に行く、買い物に行くなどの選択肢の一つなんです。だから、『今日は遊園地に行くので休みます』という子はたくさんいます。でも、その遊びの部分をしてこなかった選手ともしフィフティ・フィフティのボールを争ったとしたら遊びを知った子たちが勝てる気がします。

 大人も自由なスタンスでサッカーに向き合って子どもたちに指導すべきではないでしょうか。本来サッカーは自由なスポーツであるはずです。用具も不要で、ボール1個とスペースがあればやれるはずなのに、大人側が形式に沿ってやらなきゃいけないと思い込んでいます。そういうことを少年サッカーにリンクさせすぎです。このままいくと日本サッカーから自由とか意外性とか熱さとかを感じさせる選手は出てこなくなるのではないかと心配になります」

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