サッカーで大切なのは「負けたくない」という気持ちだけ。南米の選手がカラダが強い理由
2017年06月26日
コラム「サッカーは勝つためにやるもの」
聞けば聞くほど日本のサッカーには馴染みのない感覚である。日本のジュニア年代は、高い技術を伴うパス回しによって、どちらかといえば接触プレーを避ける傾向にある。それはそれで一つの長所なのかもしれないが、一方で、日本のトップリーグであるJリーグでは、球際の攻防や激しさが不足していると指摘されて久しいのも事実だ。
相手に当たりに行くことを怖がるとか、体が強いとか弱いとか、そんな話ではなく、闘うこと、気持ちを見せること、球際でも必死にぶつかり合うこと、それらが当たり前の感覚にあるアルゼンチンのサッカーから学ぶことはあるだろう。
「小さい子どもが大きな子どもに勝つためには、お話したようなコツを知っていればある程度は勝負できるんです。ただ、そうなるためには、そもそも闘おうとする気持ち、負けたくない、という気持ちがないと、相手のボールに飛び込んでいけないし、何も始まらないんです。むしろ、サッカーに大事なのはその気持ちだけと言ってもいい。そこを指導者が指導できるか、指導できないか、で子どもの成長は大きく変わってくると思います。
サッカーは勝つためにやるものです。勝つためにやらないのならばやらないほうがいい。負けたら悔しいという思いが、またさらに自分を上達させる。小学生のうちは楽しくやればいいとか、綺麗事ではなくて、試合では勝つためにやる。そういう前提がないと、試合中に接触プレーに飛び込むようなシーンは出てこないと思います。
これはエスペランサの中学生たちにもよく伝えるのですが、テレビで試合を見ているときに、『なんであそこで奪いにいかないんだ』『なんでそこで滑らないんだ』というプレーを見たとしても、自分は絶対にそういうプレーをやってはいけないんだ、と。
自分が見て感じるということは、観ているお客さんも同じように感じるということ。でも、自分がサッカーをやっているときはどうしてもみんな手を抜く癖がある。疲れているからです。ここは行かないでいい、と自分で判断してしまう」
【ウルグアイ代表のアルバロ・ペレイラ(写真右)】
グスタボさんは前回のブラジルW杯のウルグアイ代表のDFアルバロ・ペレイラを引き合いに出す。
「W杯の試合でペレイラは脳震盪を起こしたのですが、次のプレーでまた同じようにボールにドンとぶつかりに行って相手を潰そうとしたんです。相手はボールをキープしているし、絶対にマイボールにできないのをわかっているのに、『それでも俺は勝ちたいんだ!』という気持ちを見せた。
仲間のDFゴディンはそれを見て、『あいつがあれだけのプレーをしているんだから、 うちらが頑張らないとおかしいだろ。そういうプレーをあいつが俺たちにさせてくれるんだ』と言って称賛していました。サッカーは冷静にやらないといけないときもあるけれど、ハートでやらないといけないときもある。そういう選手の存在がチームにいい影響を与えてくれるんです」
今、エスペランサからは何人ものJリーガーや、ユース年代でもトップレベルの選手たちが輩出され始めているが、彼らのプレーを会場でみた人たちが「彼はエスペランサのDNAを持っている!」と興奮気味にネット上に投稿するような現象が起きている。エスペランサが日本で活動を始めて今年で15年になるが、グスタボさんには 「エスペランサの子どもたちは、日本のサッカー文化を変えつつある」という手応えがある。
「小さい頃から、負けたくない、という気持ちをどれだけ育むことができるか。エスペランサでは小さいときから、どんな試合でも勝負は勝負として捉えて、いつでも競争心があります。負けたら次は頑張ろう、何か問題があればぶつかっていこう、という気持ちがどんどん沸いてくる選手たちが育っている。
それはサッカーに限らず、日常生活にも通ずるものだと思います。その気持ちは大人になって、社会に入ってもとても大事です。僕たちはサッカーを通じて文化を変える、ここでたくましい人間を育てることを大事にしたいと思っています」
【商品名】ジュニアサッカーを応援しよう! VOL.45
【発行】株式会社カンゼン
2017年6月6日発売
A5判/並製/176ページ
◆特集1 ジュニア期(U12)だからできるカラダづくり
◆特集2 ストライカーを育てる!
◆【付録DVD】
FC東京 中島翔哉選手のドリブルテクニック術 他
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