「サッカーを嫌いにならないでほしかった」。ふたりの“サッカー少年”を子に持つ元日本代表・福西崇史が語る子育ての話
2017年08月15日
インタビュー現在はサッカー解説者として活躍する福西崇史さん。選手としてはジュビロ磐田の黄金期を支え、日本代表としてワールドカップにも2度出場。2004年のアジアカップでは優勝に大きく貢献しました。前編では、福西さんご自身のキャリアを振り返っていただきましたが、後編となる今回は、ふたりのサッカー少年を子に持つ福西さんの子育てに対する考え方を伺いました。
元日本代表・福西崇史のキャリアから学ぶ。サッカー界で“生き残る術”
取材・構成●高橋大地/ジュニサカ編集部 写真●Getty Images、ジュニサカ編集部
大切なのは子どもと対話すること
――ドイツW杯からわずか2年半後。福西さんは2009年にピッチから退かれました。現在はサッカー解説者としてご活躍されていますが、同時に高校3年生と中学2年生の男の子のお父さんでもあります。ふたりともサッカーをしているそうですが、子どもたちに「サッカーをしてほしい」という気持ちはありましたか。
本人たちの意思を尊重していたので、僕がサッカーをすすめるということはありませんでした。子どもたちのやりたいことをやれば良いと思っていましたから。ただ、家の中はサッカーをやる環境にはなっていましたね。それは自然とです。子どもたちが生まれたときは僕もまだ現役でしたから、家にボールが転がっている状況ではあったと思います。
――子どもたちからアドバイスを求められたりしませんでしたか?
それはあまりなかったですね。子どものとき、父親にしょっちゅうアドバイスを求めたりしましたか? 僕自身、お父さんの言うことをあまり聞いたりはしなかった。そんなことを子どもと接していて思い出したりします。それと一緒なのかな、と。もちろんアドバイスを求められればしますよ。(笑)
ただ、長男はサッカーをはじめたばかりの小学校低学年の頃に「サッカー嫌い」と口に出す時期がありました。その時は本当に気にしましたね。サッカーを嫌いにならないで欲しかったから。
親がプロサッカー選手であること。こればかりは、僕も未経験で彼にしかわからないことでしたからむずかしかったです。『福西』なんて苗字もそうそういないので、すぐバレてしまいますしね。(笑)
当時、僕は30前後でしたが、ここから子どもとサッカーの考え方をふたりで深めていった。そういう感覚です。結局長男は、“サッカーを楽しくプレーする”スタンスで高校の最後まで競技レベルでプレーしていました。
――どう立ち直ったのでしょうか。
自然とですね。ただ、ずっと気にかけてきました。もちろん全部話してくれるわけではないですが、今、どういうふうにサッカーと向き合っているのかなどを聞いたりしていました。
――好きではじめたはずのサッカーを嫌いになってしまう。そういったことは、日本のどこの家庭でも見られると思うのですが、サッカーを嫌いにさせないために親は何ができますか。
本当に嫌いになる前に話してほしいです。すごく理想を高く持つ親御さんもいらっしゃるかと思いますが、対話をして決める。子どもの意見を聞いてあげることが重要だと思います。理想を高くもって、子どもたちに還元してあげることは重要ですが、大人の意見を押し付けるのはよくありません。投資をすれば、すぐにサッカーが上手くなるということはないですから、気長にサポートしてあげてほしいです。
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