風間八宏監督が語る“フリーになるための極意”。「いつ」「どこで」「どう」受けて、外すのか
2017年09月07日
コラム「パサーが見なければいけないのは『敵の一歩』」
風間さんの言う「わざと隠れる」は、図1のような状況だ。敵の視野の外に立っていて、そのままパスを受けるか、敵が視野に収めようと事前に動いたら「矢印」の逆へ動けばマークを外せる。「ボールが動いているうちに考えておく」
■図1
ボールが味方の間で動いている時、つまり『いま』ではない時に受けるためのアイデアを持って準備をする。「ボールが動いているうちに考えておくのはパスの出し手も同じです。1メートルのパス交換の間に視野を作っておく。それができるのが上手い選手です。パサーが見なければいけないのは『敵の一歩』です」
敵の動きを見て、守れない場所をつく。風間流パスワークの真髄といえるところだが、そのためには当然「敵を見る」。その時に「敵と同じものを見てはいけない」と、風間さんは言う。
「受け手はそんなにボールを見なくてもいいんですよ、『いつ』を感覚でわかっていれば。むしろボールばかり見て、ボールに反応してしまうと敵と同じものを見てしまう。それよりも敵を見る作業が大事。味方を感じられれば、違う場所で待ち合わせができる」
例えば図2のようにパスを受けるために動いても、動きをに見られてしまっている。このケースでDFは受け手とボールの両方が視野に入っているので、受け手がどこでパスを受けようとしているか容易に予想できるわけだ。このケースでは、むしろ図3のようにパスの出し手のほうがDFの動きを見て、その逆をつけばマークは外れる。受け手は移動し終わって止まっていて、DFはまだ動いている最中か止まろうとしている直前とすると、DFの「矢印」と反対へ緩いパスを転がせば、受け手のほうが速く反応できるのでマークを外すことができる。もちろん受け手のほうも、このズレたパスの意図を瞬時に理解する、あるいは予めそれを狙っていることが成立の条件だ。
■図2
■図3
このケースでは出し手側が敵を見て逆をついているが、受け手もそれを感じていることで「違う場所で待ち合わせ」ができている。「敵と同じもの」ではなく違うものを見ていることになるわけだ。
「味方だけを見てパスをつなごうとするから、敵が入るとわからなくなってしまう。味方も見ますけど、むしろ『敵の一歩』を出させてしまえばいい」
(つづきは、フットボール批評issue17でご覧ください)
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