「見る力」と「判断力」を養う。ビジョントレーニングとは

2017年11月08日

コラム
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「眼球をあらゆる角度に動かし素早く焦点を合わせることが大事」

――ジム(ボックスファイ)では、どんなトレーニングから始めるのですか?

飯田 まずは、体を鍛えることから始めます。理由は、ビジョンを捉えるときに大切な『中心線』への感覚を培うためです。人は物を見るとき、自分を中心にその位置や方向をはかるでしょう。つまり、自分の体にある中心線を認識できなければ正確に空間を把握することができません。自分を中心に0(ゼロ)と位置づけ、上下・左右・前後と距離を推し量ることで、空間上にあるボールや敵や味方などを把握しています。

 これは0~1歳の発達期から深くかかわっていることなんだそうです。手に届く範囲のおもちゃをつかむ。そのおもちゃを振り回す。そんな何気ない動作をしながら、こどもは目で見える世界を少しずつ広げていくのです。最近は、危険などの理由から制限がかかり、子どもたちが自由に物に触れたり、振り回したり、投げたり、蹴ったりといった動作ができないまま育ってしまう環境が増えています。

 すると、体を動かすことにおいての土台が身につかないままに小学校に入って集団生活を送り、不便な思いをするケースも見受けられるようです。だから、ジムの幼稚園クラスでは、土台づくりから再学習して体を動かし、自分の中心線を認識することからスタートします。

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【ビジョントレーニングで使用する道具の一つ。ひもに緑、黄、赤の色がついた球がついている。写真のように構え、色の合図とともに眼球を動かし、焦点を合わせる運動を行う。上下、左右、斜めと方向を変え、あらゆる方向に焦点が合わせられるようにトレーニングをする。3種の球は移動するため、距離は自由自在に調整できる】

――なるほど。では、小学生クラスはどんなトレーニングをするのでしょうか。

飯田 ビジョントレーニングにおいて重要な目を鍛える『眼球運動』を始めます。幼稚園クラスでは、ボールを使うなど、体を動かしながら自然に目を使うことをやらせていますが、そもそも目は筋肉によって動かされるものなので、眼球運動をしなければ目を素早く動かす、焦点を素早く合わせるなどはできません。だから、たとえば、顔を動かさずに目だけでものを見るトレーニングをします。上下・左右に目を動かして物を見たり、物を立体的に見るために遠近で焦点を合わせる運動をしたりします。

――眼球運動とは、これまでにない発想です。確かに、眼球は筋肉で動かすものなので、当たり前のことかもしれません。

飯田 棒やひもについた色つきの目印に、正確に素早く焦点を合わせることで視覚能力を向上させるトレーニングをしています。 眼球は外眼筋、別名『眼球移動筋』で動かしているので鍛えることは可能です。基本的に、正面を含めた9方向の角度で眼球運動をしています。大事なことは眼球をあらゆる角度に動かして視線を向けられるようになること。かつ、そこで素早く焦点を合わせるようになることです。スポーツにおいては特に大事です。

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【ひもと同様に、ビジョントレーニングで使用する道具の一つ。棒に緑、黄、赤、青と4種の目印がついている。写真のように左右に構え、色の合図とともに眼球を動かし、焦点を合わせる運動を行う。目印の距離が短いため、細かな焦点合わせが必要になる】

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