サッカーをやめようとさえ考えた。酒井宏樹の“運命を変えた”サイドバックへの転向
2018年06月27日
読んで学ぶ/観て学ぶ
【2009-14まで柏レイソルの監督を務めたネルシーニョ監督】
感謝の気持ちと謙虚さが酒井の武器
帰国後、センターバックとしてベンチ入りしはじめたが、レギュラー定着まであと一息足りない。くすぶっていた酒井に目をつけたのがネルシーニョ監督だった。2011年3月11日 に起きた東日本大震災発生後の中断期間のキャンプで、名将が右サイドバックに試したことが、大きな転機となる。Jリーグ再開後2試合目のヴァンフォーレ甲府戦で田中順也の同点ゴールをアシストして結果を出すと、そこから一気にブレイク。瞬く間に五輪代表、A代表へとステップアップし、さらに柏のJ1初制覇とJリーグベストヤングプレーヤー賞を両獲りする離れ業までやってのけた。
「僕の場合は試合に出るまでがすごく苦しむ。でも、出ちゃえば絶対活躍できるという自信もつきました。中学時代、プロ1年目と出られない時期が何度もあって、自分の中でいろいろ悩んだけれど、そういう経験をしたことが大きかった。精神的な課題は克服できたのかなと思っています」
2012年5月のアゼルバイジャン戦(エコパスタジアム)で国際Aマッチデビューを飾り、今ロンドン五輪とドイツ・ブンデスリーガ1部・ハノーバー96に移籍するなど、酒井宏樹は今、飛ぶ鳥を落とす勢いだ。しかし、彼がおごり高ぶったことは一度もない。
2011年の大活躍で注目度が一気にアップしたあとも、日立台での練習後には最後まで残ってファンサービスを続け、応援してくれるファン一人ひとりに感謝する姿は全く変わらなかった。“こんなに謙虚な若者は滅多にいない”と感心されることも少なくない。
こうした立ち振る舞いができるのも、恩師・吉田監督の口癖である「レイソルのエンブレムを背負って試合に出る以上、責任をもて。ベンチには出たくても出られない選手がいるんだ」という言葉が脳裏に刻みこまれているから。酒井はどれだけ多くの人に自分が支えられているかを強く感じながら、ボールを蹴りつづけているのだ。
多くの人々に支えられ、今の自分がある。感謝と謙虚さを胸に、酒井は今日もピッチに立つ。
<関連リンク>
・2018 FIFAワールドカップ ロシア 特設ページ
・「正直、レイソルは好きじゃなかった」。酒井宏樹はなぜJクラブへの進路を選択したのか
<プロフィール>
酒井宏樹(さかい ひろき)
少年時代:柏マイティーFC
中学時代:柏レイソルジュニアユース
高校時代:柏レイソルユース
1990年4月12日、千葉県生まれ。DF。中学生になった2003年に柏レイソルジュニアユースに入団。その後、ユースを経て、高校3年生時には2種登録。2009年からトップチームへ昇格した。スピードを活かしたダイナミックなオーバーラップから、鋭いクロスを上げて、チームの得点機をつくりだす。2011年シーズンには右サイドバックとして先発出場を続けて、柏レイソルのJ1初優勝の快挙に貢献。Jリーグベストイレブン、Jリーグベストヤングプ レーヤー賞を受賞した。2014年ブラジルワールドカップ最終予選にも出場した。2012年夏にはハノーバー96へ移籍。現在はフランスのマルセイユでプレーする。
【商品名】僕らがサッカーボーイズだった頃4 夢への挑戦
【著者】元川悦子
【発行】株式会社カンゼン
四六判/232ページ
価格:1,728円(税込)
四六判/232ページ
2018年5月21日発売
『ジュニアサッカーを応援しよう! 』人気連載企画の第4弾!!
日本代表や海外、Jリーグで活躍するプロサッカー選手たちがどんな少年時代を過ごしたのか。
本人たちへのインタビューだけではなく、彼らをささえた「家族」や「恩師」「仲間」の証言をもとに描いた、プロへ、そして日本代表へと上り詰めた軌跡の成長ストーリー。
※ご購入はジュニサカオンラインショップまで
>>ジュニサカ公式facebookはこちら
>>ジュニサカ公式Twitterはこちら
>>ジュニサカ公式Instagramはこちら
>>ジュニサカ公式Youtubeチャンネルはこちら
>>ジュニサカオンラインショップはこちら
カテゴリ別新着記事
ニュース
フットボール最新ニュース
- 近江高校の躍進を支えた7つの班。「こんなに細かく仕事がある」部員も驚くその内容2024.04.24
- 「三笘薫ガンバレ」状態。なぜサッカー日本代表は個を活かせないのか?2024.04.24
- 【遠藤航・分析コラム】リバプールは何が変わったか。遠藤を輝かせる得意の形2024.04.24
- リバプールがプレミア制覇に一歩リード?「タイトル争いは間違いなく波乱万丈」2024.04.24
- 前回王者マンC、絶対的司令塔の今季CL初出場・初ゴールで勝利。レアルも先勝2024.04.24
大会情報
- 【卒業記念サッカー大会 第17回MUFGカップ 大阪大会】大会結果2024.03.10
- 【卒業記念サッカー大会第17回MUFGカップ 大阪大会】フォトギャラリー2024.03.10
- 【卒業記念サッカー大会 第17回MUFGカップ 愛知大会】大会結果2024.03.09
- 【卒業記念サッカー大会第17回MUFGカップ 愛知大会】フォトギャラリー2024.03.09
お知らせ
ADVERTORIAL
ジュニアサッカー大会『2024'DREAM CUPサマー大会in河口湖』参加チーム募集中!! |
人気記事ランキング
- 低学年と高学年の食事量の違いは?/小学校5・6年生向けの夕食レシピ例
- U-18日本代表、スペイン遠征参加メンバー発表!
- 人生最大の挫折――。本田圭佑がガンバユースに昇格できなかった本当の真相【後編】
- サッカー日本代表メンバー発表!大橋祐紀が初選出【FIFAワールドカップ26アジア最終予選】
- コンタクトプレーを嫌がる子ども?
- 【第40回全日本少年サッカー大会】初の決勝T進出を果たした鳥取KFC。3年前の経験を通じて変わった子どもたちの成長/ジュニサカ取材日記
- 補欠問題、団子サッカー、8人制サッカー、ドリブルスクール…etc。ジュニアサッカー特有の現象はなぜ起こる?
- 「2023ナショナルトレセンU-13(後期)」参加メンバー発表!【西日本】
- U-17日本女子代表メンバー発表!【FIFA U-17女子ワールドカップドミニカ共和国2024】
- 小6で「大人のようなサッカーをしていた」。ガンバ大阪に見いだされた“井手口陽介”という才能