認知とは「状況に応じて的確に早い判断ができること」。大豆戸FCが実践する“頭の中へアプローチ”【6・7月特集】
2018年07月13日
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1対1という狭い局面ではなく、学年ごとに関係性の人数を広げていく
――日本で言われる状況判断はドリブルかパスかしかありません。
末本氏「その原因は、1対1という狭い部分で状況を切り取ってしまう、1つの技術が11対11のサッカーの中でどのような意味をもつのか選手が理解できていないことに私たち指導者が気づいていないからではないでしょうか。今自分はどこにいて、どんな状況であるのか。試合の中で起こる状況を流れを全体の文脈として捉えられないとそうなってしまうのかもしれません。
そのアクションが成功したか否かはボール保持者だけでなく、その周囲にいるオフ・ザ・ボールの動きを必要とする選手の動きが関連しているので、その局面だけの問題ではありません。広い視点で見ないと、グループ、チームとしての戦いへと発展していきません。私は、ジュニアの育成現場においてこれが大きな課題だと思っています。
ボール扱いがある程度できたら1対1から始まり、2対2、3対3とゴールがあって、パスがあって、前にいく、少ない刺激の中でのゲームを重ねていくことが「サッカーをプレーする」ということだと考えています。その次の段階として、徐々に人数を増やして刺激を与えることで、ゲームの中でボールを扱う技術とプレー解釈を同時に身につけていく。
それが広がっていき、11人制サッカーの中で『選手が状況の解決をチーム全体でどう解決するのか』を考えられるようになるのだと思います。現状では、低学年ですらJFAの8人制に倣って8人制サッカーが行われています。ボールを扱うことだけではなく、認知とプレー解釈の重要性を考えればそういったオーガナイズにはならないのではないか、と疑問を抱いています。
局面を複数の選手で打開したとき、あるいは複数の選手でピンチを防いだとき、すばらしい予測で相手の攻撃の一歩を摘んだとき、そのような場面で海外の観客席からは歓声がわくことが多いと感じます。でも日本では、ゴールが入ったか惜しかったか、1対1の局面を制したときに歓声がわく。そういうシーンが多いのもサッカーがチームスポーツであるという深い理解がないからではないでしょうか」
――サッカーを広く深く理解していないとヨーロッパの人たちのような拍手はできません。
末本氏「私はジュニア年代においては、プレーモデルは限定されたものではなく、幅広いものでなければならない。フットサルのリーグに参入したのも、最初はそれが理由です。攻撃においてはビルドアップも、ダイレクトな攻撃も、ジュニアの間はどんなことも体験し、できるようにさせなければならないと思っています。「僕たちはこうなんだ」「僕はこれしかできない」とそんなふうにサッカーに対する価値観を狭めすぎるのは良くないのではないかと考えています。次のステップでは、どんなサッカースタイルが待っているかわかりません。どこの中学校や高校に行っても、そこでサッカーをプレーできるように指導していかなければならないと考えています」
【1/22トークイベント】中野吉之伴氏×末本亮太氏『ドイツサッカーの育成文化をどう日本に落とし込むか』
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