【熱中症予防・応急処置】救命救急医に聞く「子どもが弱音を吐ける環境作りを」
2018年08月09日
コラム熱中症で必須の応急処置“FIRE”
ここからは、万が一、熱中症になってしまった場合の対策について話を進めていきましょう。
①まずは熱中症を疑う
暑熱環境、つまり体が暑さを感じる環境にいた場合の体調不良は、まず、熱中症を疑ってください。もちろん原因が他にある可能性も否定できませんが、暑熱環境下での体調不良は、まず熱中症を疑うことから、その対策が始まります。ちなみに、よく見られる症状は、以下の通りです。
初期症状(軽症):めまい・失神・筋肉痛・筋肉の硬直・大量の発汗
中等症:頭痛・不快感・吐き気・嘔吐・倦怠感・虚脱感
重症:意識障害・けいれん・手足の運動障害・高体温など
※環境省 熱中症環境保健マニュアル2018より
②呼びかけに応えるか否か
続いて、「○○君、○○ちゃん」と呼び掛けます。もし、目が虚ろになっている、舌が回らず返事が曖昧など“いつもと違う”様子であれば、すぐに救急車を手配しましょう。
幸いにも返事がきちんとできて、意識がハッキリしていたら、熱中症処置の行動指針となるFIREを施します。これは、Fluid=適切な水分補給、Icing=身体を冷やす、Rest=安静、Emergency=救急搬送という4つの単語の頭文字を取ったもので、熱中症の応急処置として高い効果を発揮します。
まずは涼しい場所へと移動させてください。日陰でもかまいませんが、風通しが悪いと意味がありません。できれば空調設備の整ったクラブハウスや車内がよいでしょう。
③体を冷やす
次に体を冷やします。スパイクとソックスを脱がせ、首筋、脇の下、鼠蹊部を冷やしてあげましょう。この3箇所はいずれも皮膚の近くに太い静脈が走り、体の中に向かってゆっくりと血液が流れているため、冷えた血液が全身に回りやすいというメリットがあります。脇の下と鼠蹊部には、チームで用意している氷のうをシッカリ当ててください。氷のうは皮膚への接触面積が大きいため、体がよく冷えます。ただし、首筋は苦しくなることがあるため、氷水につけて絞ったタオルなどがベストです。
④水分を摂らせる
続いて、「Fluid=適切な水分補給」です。前述したように、サッカーによって失われた塩分や糖分を補うために、また、熱くなった体を冷やすために、冷たいスポーツドリンクを飲ませてあげてください。特に蒸し暑い環境で汗がなかなか乾かない状態であれば、こうして体を冷やすしか対策はありません。
ここで重要なのは、自力で水分を摂取できるかどうかです。仮に、うまく口に運べない、飲んでも過剰にむせるなどの症状は、意識が正常に働いていないことを表しています。このような症状が見られたときは、すぐに救急車を手配しましょう。
⑤症状が良くなったか確認
最後に、症状がよくなったかどうかを確認します。常に誰かが付き添い、様子を見てあげることが大切です。もし、Fluid=適切な水分補給、Icing=身体を冷やす、Rest=安静の3つの処置によって症状が緩和されたら、練習や試合に戻ってもかまいません。もちろん、迎えを呼んで帰宅させるという措置でも大丈夫です。少しの休憩で回復する場合は、熱中症の重症度で言うところのⅠ度(軽度)にあたりますし、サッカーをしている子どもはそもそも元気ですから、極端に神経質になる必要はないと言えるでしょう。
状態に応じて5~20分程度を目安に安静にさせて見守ってあげてください。
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