なぜ4種の選手は「多忙」なのか…。少年サッカー界が抱える”トレセン”の深刻な問題/指導者座談会2【9月特集】

2018年09月21日

コラム

9月の特集のテーマは「改めて考えたい”4種年代”の問題点」である。9月上旬に行ったジュニサカWEBチームの座談会ではジュニア年代の様々な問題点について話し合った。今回は実際に現場に立つ指導者3人の方々に集まってもらいジュニサカWEBチームを含む6人で、再度、座談会を実施。今、4種年代で何が起こっているのか、改めてジュニア年代の問題点を挙げていった。第2回は前回(今、ジュニア年代で何が起きているのか? 現場指導者が語る”スケジュール問題”)のスケジュール問題から4種における「トレセン」ついにて話題が及んだ。

【9月特集】改めて考えたい「4種年代」の問題点

■座談会メンバー
アーセナルサッカースクール市川:南里雅也
大豆戸FC:末本亮太
FC大泉学園:小嶋快
ジュニサカWEB編集長:高橋大地
ジュニサカWEB編集部:中澤捺生
ライター:木之下潤

取材・文●木之下潤 写真●ジュニサカ編集部、佐藤博之、松田杏子


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クラブに合った目標設定を行い、指導しないと子どもが混乱する

高橋「小嶋さんのFC大泉学園は、8月下旬に『ジュニアサッカーワールドチャレンジ』(以下、ワーチャレ)に向けてチームをどう仕上げていったんですか?」

小嶋「お盆休み直前に練習を入れて、お盆明けに毎年招待されている大会に出場し、ワーチャレに向けてはほとんど対策をせずに臨みました。子どもたちのモチベーションはすごく高かったです。うちは6年生が19名いて、街クラブ選抜に参加した選手が2名いたので5年生を3名追加し、20名で参加しました。

 これは『町クラブあるある』だと思うのですが、そもそもチーム内でサッカーに対する意識の差が大きいです。だから、私が客観的に見てもワーチャレのような高いレベルの大会に出場するチームではありません。そういう中で、20名全員を出すことも考えると結果を出すのは難しいと思っていました。

 大阪遠征をした経験がありませんし、うちは合宿以外の泊まりの遠征もほとんどやらないクラブなので、今回の経験は観光面も含めて良かったと感じています。ワーチャレに出たことではなく、長期遠征をしたことによって見えた課題が多かったのかなと思っています」

南里「小嶋さんとは仲良くしているので、ワーチャレも注目していました。クラブのスケジュールも知っているので、小嶋さんがどのようにスケジュールを立ててチームを仕上げていったのかもなんとなくわかります。ワーチャレはフルピッチの11人制なので、普通のクラブでは調整が難しい大会です。また、4種のフルピッチの11人制とも全く違うので、それを一回も経験させずにぶっつけ本番で試合をしたのはかなりチャレンジャーだなと思いました(笑)。

 ちょうど一試合目を見たのですが、対戦相手が中国の選抜チームでした。私から見て、今回のワーチャレで一番のサプライズがこのチームでした。完全にスペインのサッカーをやっていて、フィジカルも強くてメンタルも強い。そのチームに対して大泉学園はすごく頑張っていて、主導権は握られていましたが、粘り強い守備で守っていました。

 1点はPKでやられてしまいましたが、大泉学園らしさは出ていたと思います。ワーチャレは一日で11人制サッカーを2試合こなさなければならないので、かなりの疲労が残ります。しかも、どのチームも最低三日間はこれを行います。連れて行った選手たちを全員出場させながら勝ち上がっていくことはかなり難しいです。今大会は結果に反映されなかったかもしれませんが、すばらしい経験をされたと思います。

 アーセナル市川のU12は11人制のフルピッチで試合をさせることもあるので、8人制と11人制のコートの使い方の違い、また疲労度の違いはわかっているつもりです。やはり11人制は倍くらいの負荷がかかってきます。今のU12の主要な大きな大会に参加するチームは夏休みに近づくほど、フットサル、8人制、11人制と三つの異なるフットボールをプレーしなければいけません。そういうスケジュールの中で11人制を戦い、勝ちに行くのは非常に難しい。いくらヨーロッパがプレシーズンの時期でこれから11人制サッカーに切り替わるとはいえ、日本のチームが彼らを相手に勝とうというのはなかなか難しい挑戦なのかな、と。その中でも、夏場のFCパーシモンの活躍はすばらしかったですけどね」

小嶋「言葉は悪いですが、私たちはワーチャレに目標を置いているわけではありませんでした。むしろ、その次のリーグ戦であるTリーグの方が大事だと考えています。うちはクラブのレベルから判断しても『多くを望めるようなクラブではない』ので、そこは指導者が浮き足立っても仕方がありません。今回は経験という意味合いが大きかったですね。戦い方も、8人制の延長というような取り組み方をしました」

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【大豆戸FC代表・末本亮太氏(写真左)、FC大泉学園代表・小嶋快氏(写真右)】

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