「部活」の在り方とは。公立中学校サッカー部の実態を探る

2018年09月25日

コラム

「中学から一から教えても難しいものがある」

――なるほど。いまは管轄の違う中体連とサッカー協会とが混ざり合った大会やリーグ戦が行われる時代です。その多様性に対応する努力も必要です。とはいえ、中体連の中でもサッカー指導者の育成は大事な部分です。中体連サッカー専門部として教師に対して何か取り組みをされているのですか?

関口「中体連サッカー専門部としては、年に二回の指導者講習会を開いています。夏はサッカーに関すること、冬はフィジカルやメディカルなど多様で専門的な知識を要するものです。サッカーについては私たち技術部が中心となり、指導にあたる顧問の先生を選手役にして実技講習をしています。昨年冬の講習会はメディカルがテーマでしたが、150人近くの教師が参加してくれて若手の先生も見かけました」

――公立中学校の部活も顧問が教師なのでサッカー指導に関する知識を持っている方を増やすことは重要です。

金子「私たち公立中学の教師は3〜6年で異動になることが多いです。だから、子どもや保護者は自分たちがお世話になる学校に『何の部活があるのか』『サッカーを教えられる教師はいるのか』は気になるところです」

――ここまで受け入れ側としての立場で話をしてもらいました。ただ子どもの成長は小学校、中学校、高校と関わりを持ち続けて見守るものです。ジュニアの町クラブに対して、『こんな選手を育てて送り出して欲しい』という思いは何かありますか?

金子「個人的には、どんな形でもいいからサッカーをプレーしてくれていたらいいと思っています。ゴールデンエイジでボールに触れたり、遊んだりしないと、中学から一から教えても難し いものがあります。とにかく外遊びをして欲しい。うちのサッカー部の子にも多く見られますが、例えばボールの落下点がわからないとか、サッカーとしての動きしか身につけられていない子が最近は多いんです。外遊びをやっていない子は巧緻性がありません。しなやかさを備えていないからアンバランスな子が増えています」

艸川「私は『サッカーが好き』『うまくなりたい』と思って中学校に上がってもらいたい。個人的な感覚ですが、部活を習い事のようにしている生徒がいたりして、『親が部活をやれ』と言ったからサッカーを続けているという生徒もいます。本当にサッカーがやりたい子は『明日は休み』というと『えー、先生やろうよ』となります。でも『やったー』と口にする子もいます。そういう声を聞くと、『何のためにサッカーをやっているの?』と思うんです。

 ジュニアの頃に『サッカーを知りたい』『僕に何ができるかな』という気持ちを育んでもらえたら多感な中学を迎えてもサッカーを楽しくプレーしてくれます。先ほど金子先生からもありましたが、体育が上手な子どもが随分減った感覚はあります。例えば手繋ぎ鬼ごっこをすると、鬼がそうでない子を捕まえられないんです。鬼同士がバラバラに捕まえに行ったりして、私も驚きます。『はさみ打ちにしたりして工夫してみて』というと『あっ、そうか』と再開します。小学校の頃にいろんな遊びをやっていないからサッカーにおける認知や状況判断などプレーそのものに出てしまっているんです」

関口「私はとにかく素直に一生懸命やれる子ならサッカーも勉強もどこかで コツをつかめると思っています。技術部としては高校につなげる身として、中体連選抜に関しては『高校に入ってもレギュラー争いができる』最低限のスキルを養うために指導指針を作って指導者たちに共有しています」

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 公立中学校サッカー部は様々な子どもが入部する。それは経済的な観点からもそうだ。だから、誰もがサッカーをプレーできる場として公立中学は欠かせない。今回は一部だが、東京都中体連の考えや取り組みを紹介させてもらった。今後も機会を作り、いろんなテーマで語ってもらいたいと思う。

GEORGE, SOUTH AFRICA - JUNE 25:  Children play football as they wait for the arrival of the Japan football team at the Lawaaikamp Sport ground for township visit during the FIFA 2010 World Cup on June 25, 2010 in George, South Africa.  (Photo by Mark Kolbe/Getty Images)


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