優れたサッカー選手=監督の指示を再現できる選手ではない
2018年10月24日
コラム
【現ヴィッセル神戸ファン・マヌエル・リージョ監督。世界有数の戦術家でマンチェスター・シティーを指揮するグアルディオラからは”師匠”として慕われている】
優れた選手とは
ヴィッセル神戸の新監督、ファン・マヌエル・リージョ(2005)は学習プロセスのアクティブな体験の重要性について、こう説明している。
「多くの監督が使う言葉がいい印象を与えるとは思わない。選手たちはプレーする生き物で、彼らはプレーするため教養力を見つけなくてはならない。戦術の構築は機械的な働きをする4-4-2ではない」
このように、「注意(意識を払う)」ということを環境の中にある情報把握のプロセスとして理解でき(Gibson, 1979; Citado por Araújo, 2005)、それぞれのスポーツには独自の情報が溢れていると考えている (Araújo, 2005)。しかしその場合でも、情報把握のプロセスと環境との相互作用において、スポーツ初心者とエキスパートには何の違いがあるだろうか?
ここではファエン(2009)が、初心者とエキスパートの違いについての調査を中心としたいくつかの研究を分析した後に「初心者は環境の重要でないものに注意を向けてしまいながらも、メニューと関連するトレーニング経験の体験を通してそれを修正していく」と結論付けている。
それゆえに、選手がプレー環境へ効果的かつ効率的に適応するためには、重要な刺激を識別することを学ぶことはベースとなる。ギゲレンツァー(2008)が示唆したように、重要性の低い情報への関心を遮断し、プレーにおいて重要と思えるような情報へ集中することが大切であり、それによって判断を下すプロセスをより素早く行えるようになる。
つまり、優れた選手とは重要な情報をより適切に感じ取る能力を持ち、未だに経験したことのない新しい状況を解決する能力を持つのである。それは優れたフィジカルコンディションや強靭なメンタリティーによるものではない。
したがってスピードトレーニング(以前に説明したスピードのコンセプトに注意しながら)は刺激と認識の複雑性が判断に影響を及ぼす(外的・内的な)ということを重要視するべきであり、プレー経験の積み重ねは刺激と認識、情報把握のプロセスの質の向上させるために必要不可欠である。
だから、トレーニングを異なる分野に分けて考えれば(この場合においてはスピード)、選手の移動スピード(走るスピード)は向上させても、このプレー環境への適合の概念が尊重されない場合には、選手の相互作用に関する能力を向上させることは難しいだろう。
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