「目指すサッカー」がない指導者が明確な言葉を子どもに伝えられると思いますか?【10月・11月特集】

2018年10月29日

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※写真はイメージです。選手及びチームは記事の内容と関係ありません。

なぜ日本は技術偏重になるのか?

倉本「脳を動かす仕組みは、言葉とイメージが重要なんです。では、どちらから手をつけた方がいいと思いますか? 『言葉、イメージ、行動、結果』というつながりがあるとすると、言葉とイメージはどちらを最初に向上させるといいと思いますか?」

高橋(ジュニサカWEB編集長)「イメージ!」

中澤(ジュニサカWEB編集部)「言葉!」

倉本「どうしてですか?」

中澤「普段の日常生活で、言葉を発することが先だからです」

倉本「正解は言葉です。なぜなのか。それは言葉の精度を上げたらイメージと行動と結果の精度が上がるからです。例えば、準備という言葉を定義してみてください」

高橋「何かに臨む前に、それに必要なものを備えること」

倉本「そういうことです。でも、それでは不十分なんです。口語辞典には、『あらかじめ予測したことに対して備えること』と書いてあるんですが、それともう一つ書いてあります。知っていますか?」

木之下「いえ、知らないです」

倉本「軽く試みること。そう書いてあるんです。これって知らないですよね。ということは、今言葉の精度が一つ上がったわけです。次からは準備という要素の中に、『軽く試みる』ことが入っていきます。『一回やってみるんだな』となるから行動が変わりますよね?イメージだけを上げても人に伝える時に困ります。

 これって元選手だった指導者が、子どもたちに指導してしまう典型的なパターンの一つでもあります。伝わらないんですよね。『イメージはわかるけど、出来ない時はどうしたらいいの?』と、こうなります。だから、言語化する必要があるのです。言語化の精度が上がれば、イメージと行動の精度が上がるから同時に結果の精度も上がっていくというサイクルです。

 指導者が『自分が目指すサッカー』をちゃんと定義をした上で発信しなければいけなりません。『がんばろう』とか、『全力をだそう』とかではなく、指導者が『こういうサッカーがしたい。だから、こういうプレーをしてほしい』と言わなかったとしたらどうなると思いますか?選手がミスします。でも、彼らは何の基準でミスしたのかがわからないのです。だから、同じミスを何度も繰り返す。選手がそのミスを自分で修正できないんです。そうすると、ミスを繰り返し、勝てないサイクルが続きます。

 ここで、指導者が『やりたいサッカー、やってほしいプレー』を明確にしたとします。すると、ミスしたら選手が『この基準に当てはめるにはこれが足りなかった』と原因がわかるから自分で修正するようになります。それによっていいプレーの習慣が出るようになります。『こういうプレーがいいポジショニングで、こういうプレーが俺たちのプレーだよね』と思えるようになれば判断スピードが格段に上がります。それができるほどチーム力も向上します。

 結果、『言葉→イメージ→行動→結果』のサイクルが良くなるんです。それは最初に言語化をするかどうかにかかっています。でも、ベストイレブンすらも考えていない指導者が数多くいるのが現状なんです」

木之下「なるほど。非常に論理的です」

倉本「この間も、スペインで戦う指導者仲間のツボケン(坪井健太郎)と話しました。なぜ、こういうことが起こるんだろうね、と。その理由の一つにリーグ戦が整備されていないからがあげられます。トライ&エラーが毎週末のサイクルで回らないから、1シーズンを指導者自身のサッカーの色で戦った経験がないから、自分の価値観を他人にジャッジされる機会が日本にはないわけです。

 スペインだと、自分がこういうふうにやっていたとしても負けが続いてきたらクラブにも子どもにも保護者にも『でも、負けてんじゃん』とプレッシャーをかけられ、さらに考えることが環境的に要求されるんです。私もスペインに渡った時に最初に言われたのは『自分の色を出せ』ということでした。なぜなら答えがないから迷うんです。あるコーチに『子どもが迷うからこうだとはっきり言え』と言われました。

 相手が1-4-4-2で、こちらは1-4-2-3-1。トップ下の選手が『オレはどの選手をマークしたらいい?』と聞くわけです。そこで『状況によって使い分けろ』と言葉を投げかけたら『ハッ?』と口に出すし、選手に任せるとチームも混乱していくんです。 その時に『ボールサイドに行け』と言ったらそうします。

 スペインだと、言わなかったら臨機応変にプレーなんてやってくれません。『自分たちで考えろ』と言った瞬間に『お前、指導者じゃないじゃないか』とそういうレッテルを貼られます。だから、向こうでは『指導者がどういうサッカーをやりたいか』という色を出すことが普通でした。

 最近では、ゲームモデルがあるかどうかが話題になっています。先日、林舞輝(※ジョゼ・モウリーニョが責任者・講師を務める「HIGH PERFORMANCE FOOTBALL COACHING」の指導者養成コース日本人初の合格者)くんに『ゲームモデルとか、言語化サッカーが必要とか言われているけど、ゲームモデルとゲームプランと理想のサッカーがどう違うかをJFAに説明してくださいとお願いしても誰も答えられないよね』という話になりました。だって、わかっていないから。

 ほとんどの人は『ゲームモデル=理想のサッカー』だと思っています。例えば、風間八宏さんって理想のサッカーの話をしていると、私は捉えているんです。それは理想だからいいんです。でも、名古屋グランパスには中村憲剛選手はいないですし、川崎フロンターレでやっていたサッカーとは全く違います。でも、それは当たり前です。何が言いたいかというと、理想のサッカーとゲームモデルは異なるものなんです。

 それがいい悪いではなく、ゲームモデルはクラブの哲学に在籍する選手によって変わるものですし、まだそこには相手は存在していないのです。相手が関係してきて、はじめてゲームプランになるわけです。どのチームもこちらのゲームモデルを消そうとするし、自分のゲームモデルを出そうとするからそこにはゲームプランが必要になる。日本でサッカーが語られる時、この三つがグチャグチャになっていることが多いです。根本の問題は、サッカーというものの捉え方がスペインをはじめとするサッカーが根付いた国とは日本が違うということです。だから、技術偏重になってしまっているのです」

木之下「そもそも集団でプレーする概念も持っていないというのが私の見解です。完全に、そこが抜け落ちています」

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