「目指すサッカー」がない指導者が明確な言葉を子どもに伝えられると思いますか?【10月・11月特集】

2018年10月29日

育成を考える

子どもとの信頼関係がないのに『なんで?』と質問してはダメ

倉本「例えば、リフティングの回数が増えたら指導者も保護者も『よく努力したね』と褒めます。でも、試合ではミスをしてしまう。ミスした本人も指導者も『実は、判断が間違っていることが見えない』から、ミスに対する根本治療ができないままなんです。『見える範囲が広がって、判断を間違えなくなったね』。そういう指導ができないから選手のプレーを正しくジャッジしてあげられない!でも、正しく動いてプレーしている選手はたくさんいるんです。でも、それが正しく評価されていないからその才能が置き去りになってしまっています」

木之下「低学年の試合を見ていると、自然にカバーリングをしている子とかがいます。先日、契約するクラブの代表とある大会の試合を見ていて、『あの〇番の子のポジショニングはよかったですよね』と話すと『全然見ていませんでした。ボールばかりを見ていました』と返答されました。そもそも見ている視点が違うから、オフ・ザ・ボールのうまい選手を評価できないんだなと感じました」

倉本「そこがわかっていないから、日本サッカーの問題は大きいんです。少し強く言うと、最初からボタンのかけ違いが起こっているから議論にならないんです。『あの技術がどうこう、あの体の使い方がどうこうではなく、サッカーって何なんですか?』ということなんです。

 先日、『団子サッカーを自然に解消する』をテーマにしたセミナーを開催しました。対象は、U-10以下です。3つの話をしたのですが、一つは人間関係です。マサチューセッツ工科大学のダニエル・キム教授がスポーツチームを調査し、うまくいっている組織の共通点を発表しました。それは『関係の質/思考の質/行動の質/結果の質』はサイクルで回っている、というものです。では、チームを改善する時に最初に取りかかるのはどれだと思いますか?」

木之下「私は、関係の質だと思います」

高橋「思考の質だと思います」

倉本「多くの人は『思考の質』と答えるそうです。そもそも結果を出したいから、もっとがんばらなければならないとそう思うのが普通です。だから、歯を食いしばってがんばれ、とトレーニングに励みます。でも、これだと結果の質にまで至らずここで止まってしまうのです。がんばれる子はいますが、がんばれない子は落ちこぼれていきます。なぜなら関係の質を無視しているからです。例えば、AとBというコーチがいます。子どもはAがすごく好き。Aコーチがこういうことをやった方がいいと言います。すると、どうなりますか?」

木之下「やります」

倉本「そう、受け入れて行動します。だから、結果が出やすいんです。でも、同じことを超嫌いなBコーチに言われたらどうですか?アドバイスそのものは全く同じことです」

高橋「やらないでしょうね」

倉本「やらなくなるか、もしくは嫌だなと思うでしょう。やるかやらないかはコーチがいたらやるし、コーチがいなかったらやらない方に流れる確率が高いでしょう。だから、結果が出るかどうかはわかりません。すると、やらなかった場合、結果が出ないから指導者は怒るわけです。そうすると、関係性はさらに悪くなります。

 でも、そういう指導をしている人は多いんです。『関係の質をあげましょうね』と言っても一つ問題があります。それは『どうやってそれを解決するのか』です。そのことについてはダニエル・キム教授も解説していません。私だったら『どうするか?』と考えた時、まず答えとして『安心・安全』を感じさせることだと気づきました。これは『マズローの欲求段階』をヒントにしています。『安心・安全』を感じていない子…例えば、初めてサッカースクールに参加した子どもは『どうして緊張する』と思いますか?」

高橋「全然知らない人たちしかいないから」

倉本「それは、どうして知らない人たちがいると緊張するんですか?」

高橋「んー、どうしてだろう?」

倉本「答えられなくても問題ありません。脳がそこの空間にいる人たちを『自分にとって味方か敵かを判断できない』から緊張感を与える指令を出すんです。だから、緊張します。極端に言えば、脳が殺されるかもと感じている状況です。そこまで大げさじゃないにしろ、危機感を感じているのです。

 それが、例えば同窓会に行きますだったら緊張はしませんよね?要は、敵ではないことがわかっているからです。子どもも一緒で、そこにいるのが敵か味方かがわからないから緊張するわけです。ということは、私たちは味方だよという安心感を与えてあげないといけない! 

 つまり、自己紹介をきっちりすることです。よくあるのが、『私の名前は〇〇です。終わり』みたいなことが多々ありますが、それは情報が少なすぎて、敵か味方かの判断材料が少なすぎるんです。だから、初めての場では自己開示をしっかりしなければいけないのです。

 とにかく、その場で『安心安全を様々な形で担保してあげる』ことが重要です。それがないのに、『いいからチャレンジしろ』と声をかけられても大抵の場合は失敗するし、子どもの中では『まだ早いよ』と思うし、それを言われ続けたらそのコーチのことを嫌になってしまいます」

木之下「私は契約している町クラブで、今まさに保護者に対してそこをクラブとして自己開示している最中です。それは保護者に対しても同じだと実感しています」

倉本「子どもに発言させたいけど、彼らに安心安全を与えなかったらやるわけありません。子どもは自分にとって不利になると思ったら、絶対に発言しません。それは自主性や主体性とは関係ないことなんです。だから、関係の質を変えずに『なんで?』と質問してはダメです。その瞬間に選手は言い訳を考え始めます。『どうしたら良かった』と聞いてあげないといけません。

 大人でも『なんで遅刻したの?』って聞かれたら『いや、事故がありまして…』と、まず言い訳を考え始めるでしょう。でも、『次はどうする?』と聞かれると 『もうちょっと起きる時間を早くします』と解決策を考えると思うんです」

木之下「『なんで?』と質問されると、人はネガティブに捉えてしまいます」

倉本「『なんで?』と聞いていい時は、うまくいった時だけです。それ以外で聞かれると、言い訳を考えます」

<関連リンク>
・【10月・11月特集】「トレーニングをデザインする


<プロフィール>
倉本和昌(くらもと かずよし)

高校卒業後、プロサッカーコーチになるためにバルセロナに単身留学。5年間、幅広い育成年代のカテゴリーを指導した後、スペイン北部のビルバオへ移住。アスレティック・ビルバオの育成方法を研究しながら町クラブを指導し、2009年にスペイン上級ライセンスを日本人最年少で取得。帰国後、大宮アルディージャと湘南ベルマーレのアカデミーコーチを計8年務めた。現在はスペインと日本での経験を活かし「指導者の指導者」として優秀なコーチを育成するサポートをしている。

<お知らせ>
【倉本和昌氏主催】「自然と団子サッカーが解消され、賢くプレーできる選手になるメソッド公開1日セミナー In大阪」開催


 

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