「認知・判断・実行」はどう鍛える? 良いプレーは“考える”ではなく”選ぶ”

2018年11月12日

コラム

p48ー1
【アーセナルSS市川U-11・U-13監督の佐枝篤氏】

「考える=判断」ではなく、「考える=選ぶ」

 アーセナルSSのスクールにおける指導目的は、子ども自身が「自分で考えて行動・プレーできる」選手になること。このように、ジュニア年代から判断を伴ったトラップ、パスを強調するのは、まさに、そのコンセプトに沿ったものだ。

「僕は『考える=判断』ではなく、『考える=選ぶ』だと思っています。サッカーは多くのシチュエーションの中で、止めるべきか、パスするべきか、ボールをどこに置くべきか、さまざまな選択肢の中からプレーを選んでいるんですよね。その選び方を指導する側が提示して、トレーニングしていきます。

 実際問題として、子どもたちがゼロの状態からプレーをイマジネーションするのは難しい。だから、うちの場合はプレーモデルやサッカーの原理原則に則って、その選択方法を提示していく。これが、サッカーを理解するということだと思います」
 
 だからこそ、トレーニングの段階からゲームに限りなく近い状況を作り出し、選手にプレーを〝選ぶ〟経験を積ませていく。それでも、実際のゲームでは、相手はパスコースを消し、どんどんボールを奪いに来るため、練習と同じシチュエーションが発生するとは限らない。そのためのコーチングの要点が、佐枝氏にはあるという。

「極端に言えば、『これしかダメ』ではなく、余白を与える感じですね。だから、言い過ぎないように気をつけています。たとえば、『止める・蹴る』の練習であれば、ディフェンスについてはあまり細かく言わない。あまりにも多くのことを求め過ぎると、子どもたちのメモリーがいっぱいになってしまうので。大事なのは、目的としているところに集中できているかどうか。その目的に対して何回トライできたかが重要で、たとえ、そこでミスが起こったとしても問題ありません」

 サッカーは必ずミスが起こるスポーツ。常に〝想定外〟と背中合わせで、特にパスやトラップは間違いが起こりやすい。だからこそ、子どもたちがトレーニングの意図や目的さえ理解していれば、実戦のなかで解決できるプレーのレベルが徐々に上がっていく。

「選手が超えられるかどうか、ギリギリのラインを設定するのがトレーニング。たとえば、単純な対面パスで起こったミスはゲームで起こるミスとは違います。でも、ゲームを想定したロンドで起こるミスは、ゲームで起こりうるミスなので修正可能です。実際に、メッシやロナウドだってミスをしますし、大事なのは判断ミスを減らすことと、自分が持っている技術の中で最善のプレーをすることだと思います。
 
 ただ、よくないのはフリーの状況でミスをしてしまうこと。もっともミスが起こりにくい状況なので、いい状態で止めて、いい判断をして、いいパスを出す。焦って止めて、状況のよくない選手にパスを出してしまうのが一番よくない。無理をして前進するくらいなら、自分がフリーであればキープして、さらにフリーな選手へつなげていく。そういう指導をしていますね。
 
 そのために、トレーニングの段階から敵がいたり、判断が必要な状況を設定することが大事だと考えています」


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