「グラウンドが少ない…」地域の苦悩。子どもたちの試合環境を増やすには?

2018年11月22日

コラム

今、ジュニア年代では様々な問題が起こっている。その一つが「グラウンドの数」が少ないことだ。そうした問題がある中、福井県越前市は13年前に独自のリーグ戦を創立した。一体どのようなリーグ戦なのか、設立のきっかけを作った大虫フットボールクラブの山崎誠代表に取材を行った。

取材・写真・文●中澤捺生


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※写真はイメージです

夏休み限定で開催されるリーグ戦

「グラウンドが少ない…」

 9月の長期休暇で地元福井の強豪クラブ大虫フットボールクラブを取材した際、山崎誠代表はそんな言葉を嘆いた。(地方クラブの現状を探る。今、何が問題になっているのか?)

 この問題が起こっているのは福井県だけではない。様々な現場でそういった声を耳にする。少年サッカーを取り巻くグラウンド環境は日本サッカー界全体が抱える大きな問題だ。だが、そうした問題と向き合い独自の取り組みを行う地域もある。

 福井県越前市のサッカー協会は13年前に「ナイターリーグ」という夏休み限定のリーグ戦を創立した。

「ナイター」という名が付く通り、夜に開催されるリーグ戦である。4年生(U-10)を対象とし、越前市内のサッカー少年団とクラブチーム、約12~13チームが約1か月(子どもたちの夏休み期間)にわたって、総当たり戦を実施する。試合形式は8人制。土日の日中ではなく、平日の夜に開催される。創設から13年間続いている越前市伝統のリーグ戦だ。

 設立のきっかけを作った山崎代表は「ナイターリーグ」誕生の背景を振り返った。

「私は高校生のとき、福井県選抜に入るレベルの選手でした。しかし、大学のサッカー部に入部すると、同級生には北海道の室蘭大谷高校や長崎県の国見高校など、全国大会の常連校でプレーしていた選手たちがほとんどで、大学では4軍扱いでした。

 ある時、静岡県の強豪校出身の選手と1vs1をしたのですが、ボールに触ることさえできなかったんです。その選手に聞きました。『いつからサッカー始めたんだ?』と。すると、その選手は『俺は幼稚園からリーグ戦をやってるよ!』と、言いました。そして大虫の指導者になり、13年前にそのエピソードを越前市のサッカー会議で話しました。それがきっかけとなり、越前市でリーグ戦が実施されることになりました。

 ただ、越前市では、社会人のリーグ戦やU-12年代の試合が土日の日中に行われていて、10歳(U-10)以下の選手たちの試合をすることができない現状がありました。そこで設立したのが4年生(U-10)を対象とした『ナイターリーグ』です。

 夏休みの平日、18時~20時のナイター(夜)であれば、武生中央公園のグラウンドが空いていたのでその時間帯を利用しました。

 しかし、武生中央公園のグラウンドは数年前に新しい体育館が新設される影響で廃止になりました。現在は新設された人工芝の武生特殊鋼材ドリームサッカー場で試合をしています。場所は変わりましたが、今も夏休みの平日の夜にナイターリーグは開催されています」

 冒頭で述べたように、地方にはそもそもサッカーができる環境が少ない。福井県越前市ではサッカーの公式戦で利用できる会場は一つ(昔:武生中央公園、現在:武生特殊鋼材ドリームサッカー場)だけだという。市区町村範囲になると、越前市のような環境は稀ではないだろう。土日は社会人、2種(ユース)、3種(ジュニアユース)、4種(ジュニア)の試合が組まれているうえ、平日はトレーニングの場として利用するチームはあふれている。

「ナイターリーグを夏に開催するときはグラウンドを1か月の間(18時-20時30分)、借りています。クラブがトレーニングをする場所でもあるので、日によっては半分だけコートを利用させてもらい、試合をするときもあります。そういったことがあるため、長期間に渡って使用することは難しいです。それは昔の会場(武生中央公園グラウンド)のときもそうでした」

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