“良いトレーニング”の条件は?サッカーにおけるコミュニケーションは「共通理解」【10月・11月特集】
2018年11月30日
サッカー練習メニューサッカーは一人では成り立たないスポーツだ。ゴールを目指すために、パスを受けるために、味方との「共通理解(コミュニケーション)」は必要不可欠な要素である。だからこそ、日々のトレーニングの中で、「共通理解(コミュニケーション)」を発生させるトレーニングが重要だと、SVホルン(オーストリア)などで指導経験を持つ濱吉正則氏は主張する。”良いトレーニング”の条件とは何か?濱吉氏の言葉から学んでほしい。
【10月・11月特集】「トレーニングをデザインする」
取材・文●木之下潤 写真●ジュニサカ編集部、Getty Images
第1回 「練習メニューの継ぎ接ぎ」では選手に伝わらない。トレーニングはどう構成すべきか? の続き
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まずコミュニケーションを理解するには「1+1対1」から
――1対1と言えば、日本の育成年代の指導では一つのグリッドの中で1対1を行っていることをよく見かけます。濱吉さんもああいうトレーニングをするのでしょうか?
濱吉「しますよ。あれが絶対ダメとも言いませんし、私はポンとボールを出してから1対1をさせたりしています。でも、そればかりだと試合には使えません。なぜならサッカーはオン・ザ・ボールから始まる状況がないからです。プレーをするためには『ボールをもらうタイミング』、『走り出すタイミング』が必要になります。ストリートサッカーをやれば学べますが、それだけの主観的な練習のみで戦術的な学びに時間がかかってしまうし、学べる子と学べない子が出てしまいます。それをどうやってトレーニングするかといえば、全員が学べる状況を作り出すためには指導者のオーガナイズが必要になります」
――日本で1対1の練習をすると、指導者はぶつかり合いや気持ちなどばかりに目が向きがちです。濱吉さんが指摘されるコミュニケーション=共通理解の部分が足りません。
濱吉「1対1のトレーニングもGKを入れるだけでコミュニケーションが生まれます。よくあるライン突破のトレーニングも出し手が存在しないから目の前の相手とただ1対1でマークを外すか外させないかのところになっているので、そこにコミュニケーション(=共通理解)が発生していません。ゴールとボールと相手を見ればいいだけ状況です」
――「ボールがもらうところから」がスタートだとコミュニケーション=共通理解が存在します。その発想がお父さんコーチや初心者コーチにはありません。
濱吉「例えば、シンプルにフリーマンをつけた『1+1対1』でもいいと思います。 フリーマンに寄って行き、ボールをもらえなかったら空いているスペースはどこにあるかを探す。ボールをもらう場合は、常にボールとゴールが見えるようにしておく。すると、敵が来るとわかる。そうしておくと、どこにスペースがあるかも見える。そうやって分解していくわけです 。大事なことは、攻撃の方向をきちんと決めてあげることです。それはトレーニングの大事な条件の一つだと思います。
ヨーロッパでは、1日の練習が全部書いてあるカードがあったりします。要は、練習メニューを考えることができない、時間のない指導者もいるから、そういう人たちのために用意されたものです。日本ではあまり見たことがありません」
――確かに、練習メニューが羅列してある本などはあります。いずれにしても鶏か卵かと同じで、 どちらがスタートでもいいですよね。ドイツではテーマに沿った「1日のトレーニングメニューが出せる」サイトをサッカー協会が作っています。それはグラスルーツを大切にし、初心者コーチでも平等に指導ができるようにしているからです。
濱吉「私は最初から手順を教えること自体を悪いことだと思っていません。正解に早く到達できるわけですから。それをやるうちに学んでいくという方法もあるわけです。私だって最初はすべてマネから始めました。アヤックスの練習をマネする。でも、なかなかうまくいかない。オシムさんの練習をマネする。でも、うまくいかない。そういうことを繰り返しながらトレーニングの作り方を覚えていきました。一つ言えるのは、自分なりの変な解釈を加えず、正しくマネることが大事だということです。海外研修に行った指導者の話に耳を傾けていると、意外と『日本では…』という言葉を使いがちです。確かに、文化が違うので当たり前なのですが、素直にそのものを受け入れた方が自分の物になりやすく、学びも大きい」
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