ボリビアとノルウェーから学んだ育成の本質。 日本が掲げる「プレーヤーズ・ファースト」の原型
2019年01月27日
コラム
【日本サッカー協会ではA代表コーチ、技術委員長などを歴任した小野剛氏。今季よりJFL・FC今治の監督に就任した】
「我々にトップチームは必要ない」
タウイチは勉強や人間教育にも力を注いでおり、アカデミー内の部屋で勉強をしている子どもも見ました。メニーナがいないとき私を案内してくれた選手は英語がペラペラで、大人との会話や受け答えもスムーズでした。誰もが彼と同じように流暢に英語を話すわけではないとは思いますが、それでも十分に参考になる理念や指導方針を目にすることができました。
帰り際、私はメニーナに尋ねました。
「これだけいい選手がいるのに、どうしてトップチームを立ち上げないの?」
「トップチームは作らないよ」
理由は明確でした。
トップチームを作ると、誰もがいつしかトップチームのことしか考えなくなってしまう。それでは、ストリートチルドレンを減らす、子どもたちに希望を持たせる、という最初の目的からずれてしまう。だから我々はトップチームを作らない、ということでした。
そのときにメニーナが言ったのが、
「タウイチは、プレーヤーズ・ファーストなんだ」
という言葉です。
現在、日本の指導現場でもよく聞かれる「プレーヤーズ・ファースト」という言葉は、実は私がボリビアで聞いて感動して、日本に持ち込み、強化指導指針に載せることで広まっていったものなのです。
トップチームを作れば能力のある選手にばかり目が行き、サッカーの実力の落ちる選手に気を配ることができなくなる。それは、立ち上げの精神に反する。ポリシーが失われてしまうので、我々にトップチームは必要ない。
日本をはじめ、サッカー先進国の多くがそうであるように、まずトップチームがある。そこへ(移籍金を発生させずに)才能ある選手を供給するために、アカデミーを整備する。それとは、まったく逆の発想で成り立っているのがタウイチ・アカデミーなのです。
カテゴリ別新着記事
ニュース
-
【第49回 日本クラブユースサッカー選手権(U-18)大会】出場チーム決定!2025.06.18
-
なでしこジャパン(日本女子代表)、国際親善試合(vsスペイン女子代表)と「E-1サッカー選手権」に臨むメンバー発表!2025.06.18
-
「エリート女子GKキャンプU-15」参加メンバー発表!2025.06.17
-
「東北トレセン女子U-13」が開催!2025.06.10
フットボール最新ニュース
-
近江高校の躍進を支えた7つの班。「こんなに細かく仕事がある」部員も驚くその内容2024.05.21
-
「三笘薫ガンバレ」状態。なぜサッカー日本代表は個を活かせないのか?2024.05.21
-
【遠藤航・分析コラム】リバプールは何が変わったか。遠藤を輝かせる得意の形2024.05.21
-
リバプールがプレミア制覇に一歩リード?「タイトル争いは間違いなく波乱万丈」2024.05.21
-
前回王者マンC、絶対的司令塔の今季CL初出場・初ゴールで勝利。レアルも先勝2024.05.21
大会情報
-
【卒業記念サッカー大会 第18回MUFGカップ 大阪大会】大会結果2025.03.07
-
【卒業記念サッカー大会第18回MUFGカップ 東京大会】フォトギャラリー2025.03.03
-
【卒業記念サッカー大会第18回MUFGカップ 東京大会】F.Cボノスが逆転勝利で優勝を果たす!<決勝レポート>2025.03.01
-
【卒業記念サッカー大会 第18回MUFGカップ 愛知大会】大会結果2025.02.25
お知らせ
人気記事ランキング
- 低学年と高学年の食事量の違いは?/小学校5・6年生向けの夕食レシピ例
- 東北トレセンU-13が開催!
- 栄養も食事量も“バランス良く”/小学校1・2年生向けの一日の食事例
- プロフットボーラーの家族の肖像『久保竜彦 ~本気で向き合うということ~』
- 「運動ができる子は勉強もできる」は本当か?
- パスやシュートばかりでドリブルしない子ども
- サッカー選手に必要な能力「巧緻性」を磨こう【前編】
- 【第94回全国高校サッカー選手権大会】高校サッカー選手のジュニア時代 北海道・東北
- 食べてすぐに運動しても大丈夫! 試合前にとりたい”消化の良い”食事とは?
- 今、指導者に何が求められているのか?サッカーを“サッカー外”から学ぶ重要性