「判断スピード」を上げるには目と脳を鍛える。「速読」がスポーツに効果を発揮する理由

2019年03月09日

コラム

2018年に行われた夏の甲子園で初出場を果たした沖学園(南福岡代表)が、文章を速く読む「速読」をトレーニングに取り入れたことが当時話題となった。そして最近では、野球だけでなく、サッカー、テニス、卓球など、あらゆるスポーツで、速読が効果を発揮しているという。そこで、3月6日に発売となった『速読トレーニングで磨く スポーツの判断力』から、速読がなぜスポーツに活かされるのかを紹介する。

著●石井真 イラスト●寺崎愛

『速読トレーニングで磨く スポーツの判断力』より一部転載


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「速読」は目と脳を鍛えるトレーニング
 
 速読はその名の通り、速く読むことです。そのためには、文字を一語一語追っていく黙読から、映像を見ているかのように、ひと目見て読み解く「視読」に変える必要があります。それには高速でできる限り多くのものを見る目と、目が映像を捉えるスピードに合わせて、たくさんの情報を処理する脳が必要なのです。
 
 速読では、見る力と脳の情報処理能力を高めるため、目と脳を鍛えるトレーニングをします。それにより、見る速度が上がり、視野も広がり、照合スピードやイメージ力が上がるようになるのです。それはまさにスポーツに必要な能力と共通しています。
 
 目と脳と体は密接に関係しています。目で捉えた情報を脳へ正確に送り、脳では的確に処理して体を動かします。スポーツといっても種類はさまざまですが、目と脳を使う点はすべてにおいて言えること。特に、瞬時の判断がキメ手になるスポーツにとっては、見る力は非常に重要です。
 
 速読のトレーニングは、目と脳を鍛えて速く読む力が身につくだけでなく、五感が研ぎ澄まされてスポーツに必要な能力も同時に引き上げられるのです。
 
 身体能力や技術力はどんなスポーツにも求められますが、優れたスポーツ選手とそうでない選手との違いは「判断力」。「判断力」が乏しければ、チャンスを逃したり、ミスをしてしまうことも。すばやく的確に動くためには、判断する力が不可欠です。それには同時に、「視覚能力」と「理解力」、そして、「イメージ力」が必要です。見て、状況を把握し、その先を推理して、的確な判断を下すのです。
 
 第一に必要な「視覚能力」とは、主に物の位置や距離を測る目のピント合わせと、動いているものを瞬時に捉える動体視力、そして、視野の広さを言います。距離感が正確につかめれば、シュートの成功率は上がり、パスミスもなくなり、動体視力がアップすれば、超高速のボールも捉えることができるのです。さらに視野が広いと、目の前のボールを追いながらも、離れたところにいる味方や相手の動きまでもが目に入るようになります。
 
 次に必要なのが、「理解力」。目が捉えた情報を脳が処理する力です。そこから今度は、状況をつかみ「イメージする」ことへとつながります。展開を推理して、仲間や相手の動きを読むのです。そして、最後に自分がどう動くかを決める、「判断力」が求められます。スポーツにおいては、これらの4つの力を瞬時に働かせることが大切なのです。
 
 速読のトレーニングでは、特に右脳を活性化することが重要になります。右脳には情報をイメージに置き換えて受け取ることができる機能があり、それを「イメージ化機能」と言います。極端に言えば右脳を鍛えれば目や耳を使わずに視覚的、聴覚的にイメージがキャッチできるということです。スポーツにおいては、相手がいる方を見なくてもボールや相手の動きを感じる、相手の動きを予測して瞬時に次の行動を開始する、といった、感覚でものを捉える能力が必要になります。右脳を活性化することで、今ある技術を最大に生かし、スポーツのパフォーマンスを上げることができるのです。

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