「できるだけ具体的な指導を…」と意気込みすぎるのは半分正解で半分間違い【サッカー外から学ぶ】

2019年04月18日

育成/環境

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“一方通行の指導”ではうまくならない

 経験則は抽象度を高めることで武器になる。

 日々のトレーニングや週末の試合、大会など、ひたすら具体の世界で奮闘するサッカーコーチにとって、抽象度を上げるという概念を持つことは少しハードルが高いかもしれない。

 具体度の高い指導と聞いて思い浮かぶのは、サッカーのプレーをコーチがやってみせる「デモンストレーション」だ。言葉で説明するより手っ取り早く、なんと言っても目の前で見せることができるデモンストレーションは、「できる」コーチにとっては大きな武器になる。しかし、そのプレーが「できる」ことと「教えられる」ことはまったく別物だということは、サッカー指導の現場にいる方が痛切に実感していることだろう。

「コーチがやってみせるという行為はたしかに具体的で、伝わりやすいものではあるんです。でも、そのぶん抽象的なメッセージを伝える力は下がってしまう。この場合、子どもたちに身につけてほしい技術を伝える過程では、完成形を見るという具体性だけでなく、抽象的な概念を伝えることが重要になります」

 たとえばリフティングの技を、コーチがデモでやって見せる。それで全員できるようになればいいが、現実はそうはいかない。子どもたちにコツを掴むためのヒントを出すとしたら、デモを繰り返し見せるより、その技がなぜ必要なのか、どうやって生まれたのか、どんなときに役に立つのか、それを身につけたらどんな良いことがあるのかという抽象度を高めるような問いかけをすることが効果的な場合が多い。

「なんでできないの? こうやってこうするんだよ。右足はそうじゃないじゃん。よく見て」

 よく目にするこんなやりとりも、経験済みで“できる”大人が未経験の“できない”子どもに上から目線で一方通行の話をしているだけであり、コミュニケーションでもなければ指導にすらなっていない。
 

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