子どもたちが、サッカーを“楽しみ”ながら成長できる環境は整っているか?【8月特集】

2019年08月07日

育成/環境

シュタルフ悠紀
【シュタルフ氏は、Y.S.C.C.のTOPチームの監督を務めながら、日独フットボール・アカデミーなどでジュニア、ジュニアユース年代の指導も行っている】

強い弱い、勝ち負けだけで評価するのはなぜ?

——大人になると、シニアですら当たり前のように「何部」という実力、あるいは自分の要望に合わせたリーグの在り方が成り立っています。しかもチームの移籍もシーズンごとに自由にできます。でも、なぜか育成年代では年齢が下がるほど実力的に上のほうではないとリーグ戦がないという不思議な環境になっています。そのあたりも育成に一貫性を持ちにくい原因になっていると思います。

悠紀「やはり、文化との関連が強いんですよね。日本は職人気質というか、何か一つを極めることに美徳を感じたり、昔から修行という言葉があったり。例えば、『僕は柔道家だから柔道の黒帯まで取って、何段まで上り詰めて』というようなことが好きな国民性という部分もあると思うんですよ。

 アメリカは全然違うじゃないですか。広く浅くじゃないけど、人の付き合いもそうだし、何している人なのか全然わからないけれど、とりあえずハグして仲良くみたいな。今日はテニスやろうか、明日はバドミントンやろうか、バスケやろうか、ベースボールやろうか、と…。私がアメリカでプレーしていた時には、チームメートからキャッチボールに誘われたりしましたから(笑)。日本ではあまりないシュチュエーションです」

——確かに。

悠紀「そういう文化の違いがあるから、そもそもスポーツに対する向き合い方や楽しみ方が全然違います。ドイツはドイツで、サッカーは他の種目に比べたら圧倒的に人気があるから、みんな夢中になるけど、でも一番上のレベルでプレーしている選手の評価が良くて、下のレベルの選手が良くないという考えはあまりないです。

 日本だと、例えば一番上の全少(全日本U-12サッカー選手権大会)に出るチームが良くて、そうじゃないチームが良くないというような評価になりがちですけど、実はそうではありません。『強い』と『それほど強くない』の評価の仕方、そこに違いがありますよね。そのレベルというのが『サッカーを楽しむ』ための一番のカギを握ってるわけです。ゲームにしても、何をしても簡単にクリアできるゲームはおもしろくないし、難しすぎるゲームは飽きてしまいます。やはり適切なレベルの中でやれることがそのゲームを楽しむための一番のポイントだ、と。

 そう考えると、日本は損してる部分は多いのではないでしょうか。

 適切なレベルではない場所でサッカーをやらないといけない子どもたちがすごく多いです。『上を目指せ』と言われながら、実際に大人に求められていることと選手自身ができることにギャップが生じていることも多々起こっています。日本では一生懸命やるけれども、その状態で高校まで進んでそこで燃え尽きて、『もう生涯やりません。いい思い出です』みたいな子はたくさんいます。

 でも、自分に合ったレベルの学校やクラブを選べば、ものすごくレベルが近い選手と切磋琢磨できて、同じくらいの相手と対戦できて、そして『もっとサッカーが好きなまま大学生になって、部活には行かないかもしれないけれど、サークルでサッカーやって、社会人になっても都リーグの一番下のチームに入って』みたいになっていくと、もっと文化とか環境とかという側面からも醸成されていくのかな、と。今はまだそれがないので、うまく根づいていない理由の一つなのかなと思います」

——「強い」が良くて「弱い」が良くないという評価は、文化的な背景として大きく左右しているものがあります。指導者であっても、保護者であっても、誰しもがそういう見方を自然にしてしまっている部分があります

悠紀「どうしても周囲を気にする文化というか、例えば、弱いことを自信を持って言えないような空気感も漂っているところがあります。『僕はサッカー大好きです』という子がいたとして、『でも、大好きだけどレベルが下のほうのチームにいるから話さない』みたいな。でも、『Jクラブのジュニアユースにいます』という子だったら親御さんもそれを自慢するようなところがあります。

 ドイツとかでは全然違っていて、好きか好きじゃないかで見ていたりします。もちろん親が目が肥えているというのもあると思うけど、子どもが試合に出られない状況だったら、レベルを下げたチームに移籍させますし、『こっちのチームにしてみたらどう?』『こっちのほうが試合に出られるし、楽しいんじゃない?』というように。それが日本だったら『いや、ここでがんばりなさい』というような感じになるじゃないですか。『せっかくいいチームに入ってるんだから。ベンチでも全少に行けるかもしれないし』みたいな。でも、そうなると、何のためのスポーツかわからなくなりますよね」


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