指導者の仕事は「選手一人ひとりの成長に最も適した環境を確保してあげること」
2019年08月28日
育成/環境
タレントを漏らさないためにどうするか?
——8人制もそうですが、独自性にどういう意図があるのか。U-13のエリートプログラムも、去年くらいから遅生まれの選手やタウンクラブや中体連の選手を分けてピックアップするようになりました。
悠紀「そうですよね」
——そういうことって全く表に出てきません。
悠紀「年齢特性に対して考慮されていることがあまりありません。やはりある程度のルールは定めないとダメだし、晩熟をどうやってすくい上げていくかという部分は協会として考えないとダメです」
——トレセンももっと有効活用できるはずなんですが。。。
悠紀「ドイツでは、プロクラブのアカデミーは対象外です。もうトップレベルの育成を受けていますから。ドイツのトレセンは見落としを作らないために網羅できてないところに拠点を作り、拾ってあげて、そこからまたアカデミーにつなぐという仕事も担っています。私がトレセンを担当していたカイザースラウテルンの近くの地区では、そのエリアの担当している年代の試合を全部見に行ってピックアップし、そして練習会を開いてから選びます。そして、プロクラブのアカデミーや地域の強豪クラブと練習試合をするんです。だから、そこでまた引き抜かれ、その選手に合ったレベルの指導を受けられるようになります。そういう道はあったほうがいい。A代表が強かったらみんな嬉しいわけですから。そうすると、もっとサッカーが盛り上がるし、街クラブのスタッフもそういうところに貢献したことになるんですよね」
——そうすると、やっぱり移籍の問題もあったりするんですよね。結局、次の移籍先に行く時に、辞めるクラブの印鑑がないと次の移籍先で試合に出場できませんみたいな。
悠紀「セレクションですら、そうですもんね。ハンコがない場合はセレクションを受けられません、と。それでハンコをもらいに行ったら『じゃあ辞めろ』と言われて。私は『行け』と背中を押しています。その代わり、『受かってプロになったら車を買ってくれ』って冗談で言います(笑)。行かせる側の立場からすると、レベルアップしての移籍だから大歓迎なわけです」
——でも、いろいろ渋るのは自チームがレベルダウンするから。
悠紀「やっぱり試合に勝ちたいんですよ。残念ながらすべてがそこにつながっていってしまうんです。でも、戻ってくる可能性だってあるかもしれません。私はそういう選手との大事な関係はいつも何らかの形で自分に返ってくると思っています。例えば、社会人になってチームを応援してくれる、観に来てくれる。他にも、自分の子どもをクラブに入れてくれるとか。快くしてあげたほうが絶対に返ってくると思います。
それに、選手は使ってみないと誰がどう活躍するかはわかりません。
それはY.S.C.C.でトップチームの監督を務めて確信というか、実感しています。だから、12歳の段階でメンバーを固定して『この選手がいい』という勝手なさじ加減で指導者が決めてやるのは、本当に良くないと思います。J3ですら、あらためて起用してみたらすごく成長しますから」
——順応というか、慣れというのはありますからね。
悠紀「使わないと本当の意味でレベルがわからない。使ってみて、初めてどれだけできるのかがわかります。いろんなタイプの選手がいるから。練習ではあまり力を発揮できないけど、本番に強い選手もいたりします。たまたま練習でマッチアップしている選手との相性が悪くて全く抜けないんだけど、本番だとバンバン選手を抜いてくれるとか。あるわけです。みんな人間で、みんな違いますから。だから私は、一回は実力を見せる権利が選手にはあると思っています。自分の中で『必ず一回はチャンスをあげよう』と心がけていますし、実際に今シーズンもまだ試せていない選手はただ一人だけです。あとは、トップチームなので、育成とは違ってとにかく結果を出せるように監督として力を尽くします」
シュタルフ氏 新著『プレーヤータイプ別診断トレーニング』 1/19発売!
<プロフィール>
シュタルフ悠紀リヒャルト
1984年8月4日生まれ、ドイツ・ボーフム出身。14歳で地元のサッカースクールでコーチのアルバイトを始めたことをきっかけに、プレーの傍ら、主に育成年代で20年間指導。現役引退後は自身が代表を務める会社が運営するレコスリーグの選抜チームである「レコスユナイテッド」やドイツのSVヴェルダー・ブレーメンと育成提携している「日独フットボール・アカデミー」で指導。2016年には世界各国の育成専門家が集うベルギーの育成コンサルティング企業「ダブルパス」と業務提携を結び、Jリーグ全54クラブの監査とコンサルティング業務に携わる。ドイツ・サッカー協会公認「A級(UEFA A級)ライセンス」、日本サッカー協会公認「S級ライセンス」を取得。2019年には「Y.S.C.C.横浜」(J3)トップチーム監督に就任し、日独フットボール・アカデミーでは育成ダイレクターを務める。
>>ジュニサカ公式facebookはこちら
>>ジュニサカ公式Twitterはこちら
>>ジュニサカ公式Instagramはこちら
>>ジュニサカ公式Youtubeチャンネルはこちら
>>ジュニサカオンラインショップはこちら
カテゴリ別新着記事
コラム
-
U-12からU-18に何人残れるか?「川崎フロンターレの軸となっていかなくちゃ」大田和直哉監督が取る勝負と育成のバランス【全日本U-12サッカー選手権コラム】2026.01.05
-
「なぜ、これだけいい選手が熊本に集まるんですか?」ソレッソ熊本指揮官は信念をもって個性を伸ばす【全日本U-12サッカー選手権コラム】2026.01.03
-
「ヴァンフォーレ甲府らしくやります」U-12監督が出す“色”。全国大会を経験した選手たちはどんな成長曲線を描くか【全日本U-12サッカー選手権コラム】2026.01.01
-
動き方までは教えない。オシムさんが考える「自由」とは?「重なってしまうのは仕方がない。だけど…」2025.06.13
フットボール最新ニュース
-
バルセロナが逆転勝利。チェルシーがまさかの黒星【9日結果まとめ/欧州CL】2025.06.13
-
アーセナルが直接対決を制しCL首位浮上【26日結果まとめ/欧州CL】2025.06.13
-
バルセロナがチェルシーに完敗【25日結果まとめ/欧州CL】2025.06.13
-
上田綺世が先制ゴールもチームは敗戦【27日結果まとめ/欧州EL】2025.06.13
-
バルセロナ、終始リードを許す展開で辛くもドロー【5日結果まとめ/欧州CL】2025.06.13
大会情報
-
【卒業記念サッカー大会 第18回MUFGカップ 大阪大会】大会結果2025.03.07
-
【卒業記念サッカー大会第18回MUFGカップ 東京大会】フォトギャラリー2025.03.03
-
【卒業記念サッカー大会第18回MUFGカップ 東京大会】F.Cボノスが逆転勝利で優勝を果たす!<決勝レポート>2025.03.01
-
【卒業記念サッカー大会 第18回MUFGカップ 愛知大会】大会結果2025.02.25
お知らせ
人気記事ランキング
- 「なぜ、これだけいい選手が熊本に集まるんですか?」ソレッソ熊本指揮官は信念をもって個性を伸ばす【全日本U-12サッカー選手権コラム】
- 「ヴァンフォーレ甲府らしくやります」U-12監督が出す“色”。全国大会を経験した選手たちはどんな成長曲線を描くか【全日本U-12サッカー選手権コラム】
- U-12からU-18に何人残れるか?「川崎フロンターレの軸となっていかなくちゃ」大田和直哉監督が取る勝負と育成のバランス【全日本U-12サッカー選手権コラム】
- 【2025 関東トレセンキャンプU-14】参加メンバー
- 「第28回関東選抜少年サッカー大会」で輝いた10人の選手たち/ジュニサカMIP
- 全試合日程・組み合わせ・会場一覧【第34回全日本高等学校 女子サッカー選手権大会】
- 8年間でオスグッド患者ゼロ!! 子どもの心身のケアを徹底するT・フジタ枚方の取り組み
- 「僕、みやぎへ行く」。日本代表の”10番”香川真司、サッカー人生を変えた決断までの道
- 監督が「チャラけて」選手のバリアになる。興國高校サッカー部がプロを輩出し続ける秘密
- ドリブラーを育てる聖和学園の指導術。「選手のアイデアを引き出すことを常に考えている」














