「ケガ予防」「メンタルケア」にも効果的な食事の摂り方。”大人になる準備”をするための食育

2020年03月10日

フィジカル/メディカル
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3月も引き続き、「スポーツをする子どもの年齢に合った食育」の概要をお届けします。1月に「食育とは?」を食育連載担当者で話した際、ジュニア年代の食育は次のようなテーマ設定になりました。2月からはこのテーマに沿い、各カテゴリーの食育でどんなことが大切で、どんな食事をしたらいいのかを管理栄養士の川上先生にインタビューしています。週によっては食事例、またレシピも組み合わせていきますのでお楽しみに!

▼小学校1・2年生
三食のごはんとおやつを食べられるようになる

▼小学校3・4年生
どんな食べ方をしたらいいかを考えられるようになる

▼小学校5・6年生
大人の準備期として体が何を必要としているのかを知る

今週は、小学校3〜6年生にかけての食育について語ります。ぜひ参考にしてみてください。

監修●川上えり/構成●北川和子/写真●ジュニサカ編集部


川上えり
管理栄養士の川上えり先生

「噛む力」「消化力」をつけるべき

――「三角食べ」のように様々な料理を口にするほうが、より食事がおいしくなる面もありますよね?

川上 本当にその通りです。「口中調味」(口の中でおかずとごはんを混ぜて味を調節することができる)と言います。また、いろんな食感の食材を咀嚼(噛む)ことで唾液を出して免疫力の高まりを生み、そして脳へ刺激がいって脳活性につながります。

――小学校3・4年生までに、そういうことを意識して食べられるようになるといいですよね。

川上 小学校3・4年生くらいなら、食べるものを自分で選べるようになるのが理想ではあります。あとはそのくらいの年齢になると、お母さんが料理をするときの戦力にもなりますよね。これまではお手伝いさせると返って大変になっていたのが、小学校3・4年生になると複雑な工程もある程度できるようになりますから、うまいこと食事の支度にも関わらせることができるようになります。

――お手伝いをすると「いろんなものを食べると、いろんな味が覚えられるよ。口の中でまた違った味が楽しめるよ」という言葉が子どもの中で大きくなりますよね。例えば、「どれとどれを一緒に食べたらおいしかった?」という投げかけも、子どもの心にすんなり届きそうです。そういうことが、さらに食事に興味を持つキッカケになるかもしれません。

川上 そうやって考えるキッカケを与えることが脳への刺激にもなりますね。言葉でのキッカケづくりは小学校3・4年生で物わかりが良くなるこの時期だからこそできることかもしれません。あとは「噛む」習慣づけでしょうか。1・2年生だと、よく噛むことを意識してできない子もいますが、3・4年になったら意識はできるようになります。

――3~4年になると、1~2年に比べて具体的にどんな変化があるのでしょうか?

川上 3~4年生は内臓系の成長が大きく、食べる量が増えてきます。よく食べる分、内臓が食べたものを消化して、栄養として体の中に巡らせようとする循環機能もより活発に働いています。

――食べる量に合わせて体もまた適応しているのだとしたら、極端な話、おかゆだけを毎日食べていたら噛む力や消化力が育ちにくいということですね

川上 咀嚼や消化をがんばらなくていい状態が続けば、きっと体はその状態が当たり前になります。

――食べる量を増やすと、噛む回数や消化に使うエネルギーが増えるのでしょうけど、その状態に適応していくのもまた、成長段階に必要なことですね。やはり「いろんなものを食べたほうがいい」という話につながっていきます。

 例えば、一昨年のワールドカップの後にドイツのブレーメンに所属している大迫勇也選手の学生時代のチームメイトが「炭酸飲料を一切口にしなかった」と語っている記事を読みました。例えば、甘い炭酸飲料って「飲ませてもらえなかったから、大人になってから反動でがぶ飲みしてしまう」のと、「小さい頃飲まなかったから大人になっても飲まない」のと、どちらのケースもある気がします。

 小学校3・4年生になったら、お母さんとの買い物でかごの中に「いろんな色の食材が並んでいる」のと「茶色い総菜がたっぷり並んでいる」のとでは違いがわかるはずです。それこそ見た目で「栄養バランスが違う」ことを考えられると思うんです。先日見た「はじめてのおつかい」で、子どもが地元の魚屋のおばちゃんが魚をさばいているところを見ていたんですけど、魚に包丁を入れたときに小さな子が顔をしかめていました。

川上 そういう何気ない日常も貴重な経験ですよね。

――食育は、食べることだけではありません。芋掘りや果物狩りで、食材集めに関わったという事実だけで食べられなかったものが食べられるようになるかもしれない。例えば、試合後に行うお菓子交換も、翌日の試合に備えてお母さんと一緒に作ったお菓子という条件をつけたら食育イベントになります。お母さんはサポートするだけで、子どもだけで作ることでもいいですし。特に小さい頃は、たまにそんな楽しみ方があってもいい。

川上 そう考えると、いろんなところに食育のチャンスが転がっています。

――私は豆苗の切ったものをもう一度育てたり、ダイコンやニンジンの切れ端を水につけて発芽させてトッピングにしたりしていました。

川上 どんどん生えてきますよね。でも、そういう日常をもっと子どもと一緒に楽しむ食育を私自身も考えられたらと思います。

――5・6年生になると、いよいよ食事量は大人と同じくらいになりますよね。体が小さい子と大きい子とでも個人差はあるのでしょうが。だからといって全員に対して「食べなさい」も考えものです。

川上 無理やり食べさせてしまうと、食べるのがつらくなります。

――大切なのは「食事が無味乾燥なトレーニング」のようにならないこと。このことは食育連載で一番学んだことです。

川上 一度に量を食べられない子どもの場合、間食を活用して1日トータルで栄養補給をするという考え方がいいですね。子どもにもお母さんにも無理なく習慣化することがとても大切になります。

食育

体が何を必要としているか理解すること

――身体的な成長でいうと、小学校5・6年生はコーディネーション能力が身についてくる時期です。そうすると、練習によるケガのリスクも同時に高まるので関節回り、腱(ケン)、じん帯の強化のための栄養も考慮したいです。当然、運動量が増えるので、食事を通じた疲労回復も必要になってきます。

▼小学5・6年生の性質・特徴 
1.コーディネーション能力が飛躍的に伸びる
2.心理的な落ち着きが出て集中力と学習意欲が高まる
3.自分からテーマに取り組む
4.批判を受け入れる力が備わってくる
5.戦術への解釈能力ができてくる
参考=「年代別トレーニングの教科書」)

川上 ケガについて言えることは、食事だけで解決することはできません。当然、ストレッチや筋肉強化トレーニングなど複合的な対策が必要になります。それを踏まえた上で、食事面で言えることは腱やじん帯のケガ防止としてカルシウムやマグネシウムだけでなく、ビタミンCといった栄養素も摂って欲しいと思います。

――なるほど。小学校高学年になると、日本では膝痛などの成長痛を悩む子が出てきます。なかには「痛い状態でプレーしている」子が現実として存在します。どう食事でケアできるか?こういうことは各家庭で意識したいところです。

川上 正直なところ、「ケガをしてしまった」「痛みを感じる」場合には休んで治療に専念するしかありません。食事ではあくまで「ケガを予防する」「ケガした後に回復をサポートする」という考え方でしかアプローチできません。

――小学校高学年になると試合数が増えます。さらに戦術面を含め、選手に求められるものが増えてきます。

川上 そうなると、ストレスやプレッシャーを感じるシーンも増えるでしょうから、フィジカル面だけでなく、メンタル面のケアもしてあげたいですね。以前、「パワーを貯める食事術。脳を活性化させ、エネルギーを生み出す栄養素とは?」(2018年12月)でもお話しましたが、脳を活性化させたいなら日常的に魚の脂を取り入れるといいと思います。

 もし試合前日であれば、気持ちを落ち着かせるためにカルシウムやマグネシウムなどミネラル分を多めに摂りたいところです。エネルギー源になる糖質も多めにとります。身近な食材ですと、味噌汁はミネラル分が豊富に含まれています。翌日早朝からの活動だったら、夕食の主菜はできるだけ消化の良いものを選び、魚や脂肪分の少ない肉をセレクトします。できれば、揚げ物は避けたいです。

――試合前夜のゲン担ぎの豚カツより、試合後の豚カツのほうが栄養学的にはいいんですかね。食べる量が大人に近くなってきますが、摂取カロリーはどうでしょう?

川上 高学年になると、必要なカロリーは成人と同じくらいになってきます。ただ、内臓は完全に成長しきれていないので、1食の量は成人よりも少ない子もいます。そうすると、上手な間食の取り方が大事になってくるわけです。

――「必要なエネルギーは三食でとらなければならない」という考え方に必ずしもとらわれなくてもいいということにですね。

川上 間食も含めて1日のトータルで考えればOKだと、私は考えています。中学生になると、成人より多くのカロリーが必要になります。中学校3年生が食べる1食分に目を向けると結構な量です。

――小学校高学年は、中学校への準備期間でもあります。体が何を必要としているのか?それを感じるのに、どう伝えたらいいですかね。例えば、大人だったら好きだからという理由ではなく「今日は湯豆腐と温野菜が食べたい気分」みたいな日があると思うんですけど、そういう体の感覚と向き合うことも大事な気がします。

川上 小学校高学年は、内臓的な機能を含めて心身が大きく変化する時期です。男の子は声変わりが始まったり、女の子は初潮が始まる子がいたりして、男女ともに身長が大きく伸び始めていく時期でもあります。体が変化する時期だときちんと認識する必要があると思います。だからこそ「食べる量が増えていく」ことをちゃんと理解しておいてほしいです。

――最近の家庭科のカリキュラムの中に、体に必要な栄養素を学び、調理実習する内容が含まれているようです。学校でそういう教育があると、食材の買い物や料理もこの時期から子どもに頼みやすくなりますね。「何か好きなタンパク質を買ってきて」と頼むと、実際に買ってきたもので好みもわかりそうですし、授業で習っているから具体的な話もしやすいです。

川上 授業で「タンパク質とは」「炭水化物とは」という知識も入れながら、調理実習をするので、小学校高学年は家庭でもいろんなことが実践しやすい時期ですね。

>>3月の食育連載第3弾は「3月17日(火)」に配信予定


【プロフィール】
川上えり(管理栄養士)
海外プロサッカー選手の栄養アドバイスや、FCジュニオールの栄養アドバイザー。海外・国内遠征・合宿帯同や、アスリート向けレシピ制作、子育てママ向けのコラム執筆などで活動中。▼InstagramTwitter


 

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