新型コロナウイルスは正しく恐れ、子どもたちにサッカーをあきらめさせない!! ~ワーチャレ取材日記①~

2020年12月28日

U-12ジュニアサッカーワールドチャレンジ2020
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新型コロナウイルスの影響で、これまでとは違う形での開幕となった「U-12ジュニアサッカーワールドチャレンジ2020」。実際に参加しているチームはどのようなモチベーションで大会にのぞんでいるのでしょうか。

取材・写真●山本浩之


国内チームのみとなった大会

 12月27日(日)、「U-12ジュニアサッカーワールドチャレンジ2020」が開幕しました。第8回目となる今年の“ワーチャレ”は、当初予定されていた8月の大阪での開催が延期となり、言うまでもなく渡航制限が解除されないことから海外のチームは参加できません。国内の32チームによる大会となりました。

 会場は福島県双葉郡のナショナルトレーニングセンターJヴィレッジです。全天候型ピッチを1面と屋外のフィールドを1面。11人制によるフルコートサイズのピッチを使って行われました。入場の際には検温と消毒が徹底され、当然のことながらマスクも着用となります。

 実際に会場入りしてみると、とにかく「静か」というのが第一印象でした。保護者などの入場が制限されているわけではありませんが、いわゆる“3密”のうち、屋外なので密閉はありませんので密集と密接を避けての観戦となります。また応援の禁止事項として、以下のような協力が要請されていたこともあるのでしょう。

・応援の扇動をしないこと
・歌・声を出しての応援をしないこと
・指笛を吹かないこと
・手拍子をしないこと
・タオルマフラー、フラッグ等を振ったり、回したりしないこと
・トラメガを含む、メガホンを使用しないこと
・太鼓等の鳴り物を使わないこと
・ハイタッチや肩組みをしないこと

 さて、そんなこれまでとは違った“ワーチャレ”ですが、ピッチ上の試合についてはこれまでと変わりはなく、子どもたちは純粋にサッカーを楽しんでいたようです。参加チームのひとつ、東京都練馬区を拠点に活動するフットボールクラブ大泉学園の小嶋快監督はこんな話をしてくれました。

「子どもたちは、ワーチャレに出場できるのを楽しみにしていました。今までこの時期は、11月の『全日本U-12サッカー選手権大会』の東京都大会で負けてしまうと大きなイベントがなくなってしまいます。招待試合やトレーニングマッチを組んでいるのですが、今年はワーチャレが目標になってモチベーションが維持できました。特に関東以外のチームとは、なかなか対戦する機会がありませんから、子どもたちにとって良い経験になります。関西のチームには関東のチームにはない“うまさ”があります。関西はテクニック、関東はパワフル、そんな印象を僕は受けています。子どもたちは普段経験しないタイプのチームと対戦できるので、中学に向けて良い準備になったと思います。ワーチャレの期間は、サッカーの“ON”のときと、それ以外の“OFF”を切り替えて楽しく過ごしてほしいですね」

 小嶋監督に、子どもたちの新型コロナウイルスの感染拡大防止策について聞いてみると、今回の遠征で何か特別なことをやるのではなく、これまでと同様に検温や手洗い、そしてうがいをこまめにやってきた、という答えが返ってきました。とはいえ、本大会はいろいろな地域からチームが集まることから、より徹底しようという話をしてきたと言います。例えば宿舎の部屋を大部屋にせず少人数に分けてもらうとか、食事のときに飛沫が飛ばないように席のレイアウトを工夫しているとのこと。

「よく言われていることではありますが、新型コロナウイルスのことは、正しく知って、正しく恐れる。感染予防として当たり前とされていることは徹底してやることしかないと思います。例えば、食事前の手洗いを徹底するとかですよね」と小嶋監督は教えてくれました。

 この新型コロナウイルスによる新しい生活様式とは、しばらく付き合いが続きそうです。ただ、神経質になりすぎて必要以上に警戒してしまい、本来できるはずのことまでも制限してしまうと、子どもたちが未来を生きるために必要な経験までをも奪ってしまうかもしれません。

「6年生の進路はほぼ決まっています。このクラブは東京都と埼玉県の境にありますが、東京のクラブチームに進む子が多いですね。このチームとは残り3カ月になってしまいましたが、3月のお別れ会なども、できる限り、これまでと同じような形にして送り出してあげたいんです。前向きにですね!」そう言って、小嶋監督は話を終えました。

 今大会に出場している各チームの選手の中には、修学旅行や様々な学校行事が中止になった子もいるでしょう。きっと今回のワーチャレも、この時期に開催するという決断は簡単なことではなかったはずです。各チームの指導者も参加すべきか迷ったかもしれません。

 けれども、サッカーが大好きな子どもたちにとって「いま、何が必要なのか?」と考えたとき、「サッカーをあきらめさせない」という答えに結びつき、そんなジュニアサッカーに関わる大人たちの思いが集まって、この開幕の日を迎えることができたのではないでしょうか。

 明日、ワーチャレは予選リーグ2日目に入り、決勝トーナメント進出の16チームが決定します。

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