サッカーで失敗を恐れないマインドを作るには?「ミスをしたからゴールができた」という感覚の正体
2023年03月03日
メンタル/教育「競争闘争理論 サッカーは『競う』べきか『闘う』べきか?」の著書である河内一馬氏と、現役Jリーガーの岡田優希氏のオンライン対談が実現した。Footballcoachが主催したこのイベントで、鎌倉インターナショナルFCで監督を務める河内氏と、今季からギラヴァンツ北九州に所属する岡田氏の経験と知識から紡がれる言葉には、実際にサッカーに携わる人々のヒントになるものが多々あった。
文●加藤健一 写真●ジュニサカ編集部、Getty Images
「日本は団体闘争だけ世界で勝てていない」
書籍を執筆するにあたり、前提として河内氏は「日本の文化と西洋の文化の違いがサッカーに何かしらの形で表れているという仮説を立てて、説明したいなと思っていた」という。
さらにこう続ける。
「まずはスポーツを分野にカテゴライズしようとして、大きく分けて競争と闘争と定義して本に書いています。個人と団体で分けたときに、日本は団体闘争だけ世界で勝てていないというところにたどり着いた」
詳細については書籍に委ねるが、この日は現役プレイヤーである岡田氏が興味深い視点を提供していた。
「(闘争と競争は)ミスの捉え方が違う。昨季は『このプレーでミスをしたからゴールができた』という感覚があった。選択を正解にする。事後の結末がないとそれが正解だったか分からない。そうやってプレーをしていくとより挑戦したくなるし、ミスがミスでなくなる。より自信をもってプレーできる」
たとえシュートを外したとしても、その時点でそれがミスだったと決めつけることはできない。次のプレーでその“ミス”を活かした選択をして次にゴールを決めれば、最初の“ミス”は“ミス”ではなくなる。そう考えることができれば、たとえシュートを外したとしても、そのときの精神的な状況は変わってくるはずだ。
考え方次第でプレーの内容も結果も変わる
「例えば『バックパスはしない方がいい』という一般論があります。でも、実際にはその後のプレーを見てみないと、バックパスが良かったのかは分からない。つまり、選択を正解にしていくというのをサッカーから学ぶべきなんじゃないか」
そう提言する河内氏は、日本と海外における「練習」の捉え方が異なると指摘している。
「日本では練習をして試合をするという順番だけど、彼らは試合をして練習をするという順番なんですね。サッカーってもともとストリートでやっていたということを加味しても、試合をすることで成長するし、それを補助するために練習がある。だけど日本は練習をやって、その成果を出すものとして試合なんだという考え方がある」
岡田氏は、考え方の変化が結果に大きな違いを生んだことを自らのプレーで証明し、河内氏の著書が与えた影響が大きいと感じている。テゲバジャーロ宮崎でプレーした昨季、J3リーグ5位となる14得点をマーク。負傷などにより出場数は23試合に留まったが、9月以降は9試合で8得点とゴールを量産した。
考え方次第でプレーの内容も結果も変わる。サッカーの奥深さと面白さを再確認した対談となった。
※この記事はフットボールチャンネルに掲載したものを転載しています。
河内一馬氏と岡田優希氏の対談はこちらから
【書籍紹介】
競争闘争理論 サッカーは「競う」べきか「闘う」べきか?
刊行:ソル・メディア
価格:1700円+税
なぜ、唯一サッカーだけは、世界の壁を越えられないのか?
団体競争/Team Competitionと団体闘争/Team Struggleは「まったく違うもの」が求められるスポーツである。
【プロフィール】
河内一馬(かわうち・かずま)
1992年生まれ、東京都出身。18歳で選手としてのキャリアを終えたのち指導者の道へ。国内でのコーチ経験を経て、23歳の時にアジアとヨーロッパ約15カ国を回りサッカーを視察。その後25歳でアルゼンチンに渡り、現地の監督養成学校に3年間在学、CONMEBOL PRO(南米サッカー連盟最高位)ライセンスを取得。帰国後は鎌倉インターナショナルFCの監督に就任し、同クラブではブランディング責任者も務めている。その他、執筆やNPO法人 love.fútbol Japanで理事を務めるなど、サッカーを軸に多岐にわたる活動を行っている。著書に『競争闘争理論 サッカーは「競う」べきか「闘う」べきか』。鍼灸師国家資格保持。
岡田優希(おかだ・ゆうき)
1996年5月13日生まれ、神奈川県出身。18歳まで川崎フロンターレの育成組織に所属し、同期の三好康児や板倉滉とプレー。早稲田大学を経て2019年にFC町田ゼルビアに加入して3シーズン在籍。2022シーズンはテゲバジャーロ宮崎、2023シーズンはギラヴァンツ北九州でプレーする。
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