初出場ながらJクラブにも“個”でわたり合ったFC LAVIDA。昌平高と連動し、共有される育成哲学
2019年08月29日
育成/環境サガン鳥栖U-15の2年ぶり2回目の優勝で幕を閉じた『第34回 日本クラブユースサッカー選手権(U-15)大会』。同大会には、Jリーグアカデミーだけではなく、多くの街クラブが参加している。今回は、街クラブの中でも大会初出場ながらベスト8に輝いたFC LAVIDAにフォーカスする。
取材・文・写真●松尾祐希

【FC LAVIDA 主将・篠田翼(レジスタFC出身)】
初出場ながら大きな爪痕を残した埼玉の超新星
U-15世代の夏の王者を決めるクラブユース選手権。今回で34回目を迎えた大会は8月15日から24日まで北海道の帯広市などで開催された。大会を制したのはサガン鳥栖U-15。決勝ではセレッソ大阪U-15を1−0で下し、2年ぶり2度目の栄冠に輝いた。
今大会を振り返ると、街クラブの躍進が目立った。ベスト8には3チームが入り、Jリーグの育成組織に見劣りしないパフォーマンスで存在感を発揮。MIOびわこ滋賀U-15の池田怜央は6試合で11得点の大活躍で一気に株を上げ、FC多摩は個性豊かな選手たちの活躍で過去最高の成績を残した。そして、忘れてはならない存在がいる。埼玉県で活動をするFC Lavidaだ。
初出場のFC Lavidaはグループステージで横浜F・マリノスJrユース追浜に引き分け、コンサドーレ札幌U-15を撃破。見事に1位で突破し、決勝トーナメントへと駒を進めた。ラウンド32ではサンフレッチェくにびきに6-0で大勝すると、続くラウンドオブ16では藤枝東Jrユースを2-0で下した。初参戦でベスト8。惜しくも準々決勝ではFC東京U-15むさしに1-2で敗北したものの、互角以上の勝負は大きな可能性を感じさせた。
村松明人監督が「前半、相手のFWを警戒しすぎて、最終ラインが下がってしまった。そこから前でボールを奪うことができなくなった」と悔やんだように、チームは前半の戦い方を失敗。17分までに2失点を喫する苦しい戦いとなった。だが、後半は持ち直して、アグレッシブな姿勢で攻撃を展開する。
U-15日本代表候補の佐藤海空斗がボランチの位置で攻守に渡って存在感を示すと、サイドハーフの篠田翼も得意のドリブルで相手の守備網を切り裂いた。好機も決定力不足が響き、平嵩矢がラストプレーで1点を返したが、時にすでに遅し。もっと早い時間帯にネットを揺らしていれば、逆の結果になっていても何ら不思議ではない。惜しくも敗れたが、佐藤が残した言葉からも手応えが感じ取れる。
「攻撃に関してはどのチームにも通じたと思うし、自分たちの個で仕掛けて崩すことはできていた」
FC Lavidaは設立されたのは2012年。近年、全国舞台で結果を残している昌平高の下部組織という位置付けでスタートを切った。練習場所も同校のグラウンドでスタッフも同校のコーチを兼務しているのもそのためだ。細かいパスや個の力で崩す。そうした関係性もあって、志向するサッカーも類似している。
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