サッカーで子どもの力をひきだす池上さんのことば辞典「教えない」/「教える」
2016年12月22日
コラムジュニアサッカーを応援しよう! WEBサイトにて、毎週連載してきた池上正さんの『池上さんの辞書』が待望の書籍化。『サッカーで子どもの力をひきだす池上さんのことば辞典』から声がけやサッカー用語など115のことばから改めて紹介します。
監修/池上正(京都サンガF.C. 育成・普及部部長) 編/島沢優子
<池上さんのことば辞典>
教えない
【動】 類義)気づかせる 刺激する 対義)教え込む
池上メソッドの軸になる指導手法。
選手に問いかけることで気づきを促
し、自分で考えてプレーする習慣を
つける。考えさせずに一から教えて
しまうと、それしかやらないとか指
導者に言われたことしかやらない選
手になってしまう。
■池上さん解説■
「教えてくれないので辞めます」という選手
日本の子どもに「周りを見よう!」と声をかけると、みんな顔を上げます。「見た?」と聞くと「見たよ」と言います。ですが、何のために見るのか、何を見るのかまでは考えが及びません。そこまで考えて答えられる子は本当に少ないです。そこで、「何が見えましたか?」と聞いて、そこから考えてもらいます。
ところが、日本人の多くのコーチは「右にフリーの味方がいただろう」とか「自分の前はガラ空きなんだから自分でシュートまで持ちこめ」と答えを教えてしまいます。このように懇切丁寧に教えてしまうと、ジュニア期まではうまくプレーし通用するかもしれませんが、その後が伸びません。「一瞬の上達」ではなく、その先の「伸びしろを創る」のが「教えない指導」だと考えてください。
しかしながら、現実には、そのことは理解されていないようです。ある地域で育成年代で結果を出している指導者の話です。
「コーチが教えてくれないので辞めます」とクラブを退団する子が相次いだそうです。そのコーチは常に問いかけ、自分で考えてプレーすることを訴えていたそうです。でも、そのやり方は理解されませんでした。辞めた選手とその親は「コーチなのだからプレーを教えてくれるのが当たり前なのに、何も教えてくれない」と主張したそうです。
私も時折「そのやり方で強くなるんですか?」と訊かれることがあります。そういうとき「スポーツは自分で考えて、自分でやらないと成長しませんよ。教えないほうが、子どもは自分で学ぶのではありませんか」と答えます。
「教えない」ことの価値観を伝えていくのは、とても難しいことです。そもそも育成や指導というものに、正解はありません。ひとつの方法だけではないと思っています。
ですが、日本の子どもに「自分で考える」「自立する」「創造する」という部分は圧倒的に欠けていることは、多くの指導者が共通して感じていることではないでしょうか。
この三点はスポーツ全般に言えることですが、選手が場面に応じて自分の意思で動かなくてはならないサッカーでは特に必要なことです。自分で考える習慣をつけていくジュニア時代は、大人が「教えない」ことを意識したほうがよいと私は考えます。

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