育成年代への提言。「どんな選手を育てていくか、ビジョンと方向性を確立する必要がある」
2018年08月04日
未分類高校サッカー・市立船橋で全国高校サッカー選手権を4度制覇、その後にU-16、U-19日本代表監督を歴任した布啓一郎氏(現J3ザスパクサツ群馬監督)。日本サッカー協会時代は、技術委員会ユースダイレクターとしても尽力、世界サッカーの育成に精通しているスペシャリストに今夏のワールドカップロシア大会を振り返ってもらった。
取材・文●伊藤寿学 写真●伊藤寿学、Getty Images

個の力の限界
――今大会を見て、率直に感じたことを教えてください。
「多くの人たちが『今回はおもしろい』と言っていますが、私もそう思います。その要因の一つとして、強豪と中堅国、また大陸間の格差がなくなってきたことが挙げられるのではないでしょうか。日本が初出場した1998年のフランス大会から出場国が32に増えましたが、2014年のブラジル大会までは出場国に力の差があったと思います。その差が完全になくなったわけではありませんが、確かに縮まったと感じました」
――メッシやC・ロナウドらスター選手が苦しんでいた印象を受けました。
「個を中心とするチームではなく、組織と個の両方のバランスが取れたチームが、勝ち上がっていったと考えています。ゲームをする上で、個の力は絶対に必要です。決勝トーナメントに進出したチームはやはり個の力があったと思います。でも個の力だけではそこから上へ行けませんでした」
――個人の力の限界でしょうか?
「そうですね。例えば、選手の1試合走行距離は10〜12キロ前後となるのが一般的ですが、一人のスター選手が6キロしか走っていないのであれば、足りない距離をほかの選手が埋めなければいけません。アルゼンチンやポルトガルなど、そういうチームが苦戦したのは事実です。
メッシやC・ロナウドの個の力は突き抜けていますが、彼らが守備に力を注がないことによって、いろいろなところに歪みが生じていました。個の力は必要ですが、組織の一員としての役割を果たした上で、仕事ができる力が求められています。かつては一人のスター選手の力で勝つことができましたが、各国の格差がなくなってきたことで、個だけでは通用しなくなったと考えています」
――前回優勝のドイツが予選で敗退するなど波乱も起きました。
「いろいろな要素があり正確な答えは分かりませんが、ドイツのヨアヒム・レーヴ監督がグループリーグ敗退後の会見で『私たちが躍動することができなかったことは否めない』とコメントしていたのが印象に残っています。ドイツは、前回大会のメンバーをベースに戦いました。マンチェスター・シティーの22歳のFWレロイ・サネもメンバーに入れなかったのですが、同じメンバーで戦う、ある種のマンネリや停滞感を払拭できなかったと受け取りました」
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