「ジュニアでは5対5でプレーするのもまだ大きい」。考える力は”2対2″から鍛える【8月特集】
2018年08月24日
育成/環境今月は「少人数制」をテーマに特集を組んでいる。昨日掲載したフウガドールすみだ・須賀雄大強化本部長兼監督インタビュー(優れた“判断力”を持つ選手を育てるには、まず環境を整えよ。「このピッチ、このサイズのボール、このルールを与え、その中でプレーをしましょう」)では、「優れた判断力を持った選手を育てるために指導者がやるべきこと」を中心に紹介した。全5回でお届けする須賀氏へのインタビューの3回目である今回は、フットサルにおける戦術の理解の仕方について考える。
文●木之下潤 写真●橋本健、村井詩都

※写真はイメージです。選手及びチームは記事の内容と関係ありません。
フットサルの戦術を考える上で最小単位は2対2である
――来年からのジュニアチームは、よりフットサルの性質を理解した選手が集まってトレーニングできるから、内面から自然に沸き起こってくる感情によって素直に育っていくのは理想的な育成環境です。一方で、そこで学んだことをどうサッカーに取り込んでいくのかが非常に興味深いことです。サッカーだとピッチが広くなり、プレー人数も増えますが、そこにはどう答えを出していくつもりですか?
須賀氏「私たちの中では、ジュニアで5対5でプレーするのもまだすごく大きいという感覚です。だから、ボール保持者に対して2人目の選手がどう絡んでいくのか、その守備がどうプレーするのかという考え方がベースです。ある意味、最終的には2対2の局面になっていくという捉え方です。
2対2の局面でどういうふうに振る舞うのかが重要だと考えています。
それは攻撃だけではなく、守備も同じことが言えます。ボールのアプローチの仕方によって、もう一人の守備者のポジショニングがカバーになるのかプレスになるのかが変わるぐらいファーストディフェンダーの守備は大切です。そういうアプローチをジュニア年代でできるのかというのは難しいと思われがちですが、私は2対2をベースに指導していけば十分にプレーできると思っています。
『中を切って、縦に行かせる』守備をファーストディフェンダーがしたら逆サイドの守備者はカバーリングを意識しなければならないから自分のマークに引っ張られないようにポジションを取ってカバーしよう、と。逆に『縦を切って、ボールに強く行く』守備をファーストディフェンダーがしたら『前進させない』の合図だから逆サイドの守備者はカバーではなくプレスに行こう、と。簡単にいうとその一つの約束事だけですが、ファーストディフェンダーのボールへのアプローチの仕方で後ろにいる守備者の寄せ形が変わっていきます。 その一つのアイディアがあるだけで、その局面はそれぞれの選手が振る舞えるはずなんです。それは攻撃についても同様です。
例えば、オーバーラップを仕掛ける。そこに対する守備はスライドするのかマンツーマンでついていくのかという決断に迫られた時にどう2対2を守っていくのか。相手が2対1を作った時にスムーズにスライドできるのか、両方ともボールに引っ張られてフリーにしてしまうのか。そういうところは攻撃のおもしろみでもあると思うんです。マーク交換をしたタイミングでセンタリングを上げるとか。フットサルで言うと、マーク交換したタイミングでピヴォ当てをできるかどうかは狙いどころの一つです。そういったものが瞬時に理解できるかというのは、サッカーを戦う上で一つのポイントだと思っています。
そういう二人組のバリエーションがサッカーの局面でも2対2の振る舞いとしてできれば問題ないと考えています。あとはスペースが広くなるから3人目、4人目がスペースを活用すればいいだけですから、そこで状況を正しく認知決断して周囲の選手たちがプレーを選んでいけば必然的に優位な状況に立っていけるのではないかと思っています。
むしろ2対2という基本ができている選手たちが11対11、8対8でプレーするから濃密なゲームになるはずなんです。まずは2対2の守備と攻撃がバラバラになってしまっている状況、 また意図を持ってプレーをできていない状況が今はあります。何のバックボーンもない、何となくのプレーだったらその再現性が作れません。だから、私たちはフットサルで2対2という最小単位でどう振る舞えるのかという基本をトレーニングし、サッカーに応用していきたいと考えています」
――なるほど。非常にわかりやすいアプローチの仕方です。
須賀氏「例えば、フットサルで『自分はドリブルが得意ではありません』という選手に2対2の状況でドリブルをさせるとうまかったりします。それは2対2でもボールをもらう選手が良い動きを続けたら、結果的に2対1の状況を生んでいるからです。そこでボール保持者が2対1を生かすようなボールの持ち方をすれば意外にドリブルで抜けたりします。
サッカーでドリブルの1対1といえば、目の前の相手を絶対に剥がし切らなければいけないと思っているからすごくテンパってしまう選手が多いです。そこでパスコースを見つけながらそこを切ってきたら縦に抜けるよとか、そこを切ってきていないんだったらパスで当てるよとか、選択肢を持ったボールの持ち方が2対2という最小単位でイメージできていれば別にドリブラーである必要は全くありません。ジュニアの戦術で細かく指導する必要はありませんが、単純に選択肢を持ちながらボールの持ち手と受け手がプレーできているかどうかは大きくなっても変わらないと思います」

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