畑喜美夫×幸野健一 両氏が語る、いまサッカー界の育成に必要なこと -“選手が主役”の指導法「ボトムアップ理論」が子どもの自立を促す!-(前編)
2013年10月06日
コラム5年後、10年後を見据えてベースをつくっていく
――本書を読んで改めて、ボトムアップの指導は「畑先生だからできる」のではなく、「誰でもできる」ものだと感じました。特に指導者には、この本を読んでもらった上で、ボトムアップ理論による指導を実践してもらいたいですよね?
畑氏 そうですね。要するに、共に育むという“共育”ができるのがボトムアップだと思います。私も教員生活最初の数年は女子バレーと男子バスケットボールの顧問でした。その時に、体育の教員としてある程度までは指導できるけれど、競技特性からしてなかなか教えられませんでした。でも、県でベスト8には入っていました。いま振り返ってみると、その時の4年間も大きかったと思います。まさしくボトムアップであり、逆に子どもたちから教えてもらいながらやったというベースがあります。
その時も子どもたちがメンバーを決め、いろいろな意見をミーティングの中で重ね、タイムアウトのタイミングも子どもたちが決めていました。私自身がサッカー以外の競技の顧問を4年間やった中でわかったのは、ボトムアップというのはどの競技でも、新たな人でも、組織の方から入っていき、徐々に技術論、戦術論を学んで行けばいいということであって、つまりどういった人でも上手く取り入れていけるということです。それは確信できました。
――興味深いエピソードが非常に多い新刊で最も印象的だったのが、選手権の国立(ベスト4)がかかっている場面で畑先生には見えている問題点を修正することなく我慢をした結果、チームは負けてしまったということでした。もしベンチからコーチングしていれば勝って国立の舞台に立てていたかもしれない場面でさえ、選手を信じて我慢できる畑先生の凄みを感じたエピソードでした。
畑氏 ミッションが勝利であると難しいですが、それが人間力である限りできることだと思います。「負けて勉強」という言葉があるように、私は負けた時、上手く行かなかった時ほど成長のチャンスだと思っているので、敢えてそこで口出しをして勝たせるよりは、自分たちでやった結果、勝てなかったとしても選手たち自身に考えさせた方が5年後、10年後に活きてくるのではないかと考えています。人間力というベースを指導者がしっかりと持つことで、色々なことが少しずつ解消されていくのではないかなという気はしています。
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