実の両親が語るシャビストーリー。”飾らない性格の優等生“ が過ごした少年時代

2014年06月13日

サッカーエンタメ最前線

視野の広さは幼いころから

 シャビはサッカーでも、ボールをコントロールしてパスを出すという極めてシンプルなプレーを見せる。

「シャビは生まれつき、頭がいいんです。たったの6歳で、あの子はもう試合中にスペースの使い方を考えていました。多くの子どもは、ボールを蹴りたくてボールの後を追いかけてばかりいるものです。ある日、他の子どもたちがボールをめがけて走って攻撃を仕掛けているときに、あの子だけはディフェンスをするために後ろに残っていたのです。私は試合後に理由を聞きました。すると、シャビは『だって、みんなが前線に上がってしまって、誰もゴールを守らなかったら、得点されてしまうでしょう? だから、僕は後ろに下がっていたんだ』と言ったのです。たった6歳で、そんなことを考えていたのかと驚いたのを、よく覚えています」

 思い出話をする父は、興奮していた。当時の驚きが脳裏に蘇ったようだった。

 キムが話すように、シャビがサッカーに対する広い視野を持ち始めたのは、まだ6歳のときだった。

「幼い頃からサッカーに夢中でした。家には今でもシャビが子どもの頃にチームの布陣を書いたノートが残っています。たしか7歳のときのものだったと思いますが、そのときはすでにマンチェスター・ユナイテッドの布陣をよく研究していました」

 それは、ちょうどバルサから勧誘を受けた頃の話だ。オリオール・トルトは、他の子どもと比べて背が低く、けれどもボールの扱いにキラリと光る物を持ったシャビ少年に目をつけた。

 キムが振り返る。

「私は当時、テラサの下部組織チームのコーディネーターをしていました。うちのチームがバルサと試合で対戦したとき、オリオール・トルトが『6番のユニフォームの子は誰だ?』と聞きに来たのです。そこで私は『オリオール! 6番が誰かだって? それはうちの息子だよ!』と答えました。まだ6歳だというのに、彼はシャビをバルサに連れていきたいと言いました。しかし、私はまだシャビは小さ過ぎると思い、もう少し年齢を重ねてからの方が良いだろうと考えました。だから、私たちは息子に言うのはやめておこうと決めて、シャビには何も話しませんでした。そして、シャビが10歳か11歳になった頃、過去にバルサがシャビに興味を示したことは一切話さず、入団テストに連れて行きました。シャビは、そこで3ゴールを決めました。人生で唯一のハットトリックではないでしょうか。テストから帰ってくる車の中で、シャビは興奮気味でしたが、あえて私はほとんど話しませんでした。息子の前では入団テストにあまり関心がない様子を装ったのでず。疲れたかどうかを聞いただけで、それ以外は特に何も言いませんでした。実際、あの子がテストマッチで一番素晴らしいプレーをしていたのはわかっていたのですが……」

 父は、当時を思い出して微笑みながら、初めてバルサのユニフォームを身にまとってハットトリックを決めたシャビについて話してくれた。

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