大切なのは “大人たちの意識”。リーグ戦のモデルケースとして理想的なスペインの育成事情
2015年05月01日
コラムリーグ戦のモデルケースとして理想的なスペイン
ただ、ひとつの試合で1点の重みが重要となってくると懸念されることがある。それは、固定されたメンバーで戦ってしまうのではないか、ということだ。しかしスペインでは、固定されたメンバーで戦うチームはほとんどないと徳永氏は言う。
「スペインのリーグ戦では、1試合の試合時間が12歳で35分ハーフと長めに設定されています。ですので、交代もうまく使っていかないと、選手のパフォーマンスも低下してしまうんです。さらに、シーズンでいえば累積警告による出場停止や、怪我や病気などのコンディションの問題も出てくるので、固定したメンバーで戦っていると結果にもつながってきません」
さらにスペインのチームは大体1チーム20人前後で形成され、同じチームから複数チームのエントリーも可能となっている。
日本の大会でも、同一チームから複数チームのエントリーは可能となっていてそれを実践しているクラブもある。
しかし、それでも日本の少年サッカーチームがひとつの学年で複数チームをエントリーしても選手が余ってしまう場合があるのが現実だろう。そうなったときに公式戦になかなか絡めないという子どもはやはり出てきてしまう。
スペインでそういった問題が大きくならないのは、ジュニア年代の選手でも“移籍”が活発に行われるところにある。ルールの範囲内で選手の“引き抜き”があり、選手を引き抜かれたチームは新たな選手を見つけてくる。さらに出場機会を求めて下部のディビジョンのチームに移籍する選手も出てきたりする。スペインでは選手の循環によって、この問題はクリアされている。
「ただ、移籍に関しては、日本では最終的なところになってくると思います。日本ではまず、リーグ戦を定着していくこと。そこが重要になってきます」
では、日本のジュニア年代の育成現場でリーグ戦が定着するにあたり、弊害となるのはどんなことだろうか。
「日本で完全なリーグ戦を進めていくうえで難しいのは、グランドの問題。スペインでは、市長村の自治体がグランドを所有し、それをクラブに管理委託をさせる形で、基本的にチームがひとつグランドを持っています」

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