「PK失敗」を防ぐためのヒント。PK研究で名をあげたスポーツ心理学者が語る“二つの戦略”
2016年12月21日
メンタル/教育PKはサッカーにおいて恐らく最も簡単に奪えるゴールである。しかし、簡単なはずのPKはなぜ外れるのか。PKに成功する秘訣とは一体何なのか。そのヒントを探るため、長年にわたりPKに関して取材を行ったジャーナリスト、ベン・リトルトンの著書『PK ~最も簡単なはずのゴールはなぜ決まらないのか?~』から、元サッカー選手で現在はスポーツ心理学者という異色の経歴を持つゲイル・ヨルデット博士の理論を紹介する。
(文●ベン・リトルトン 監訳●実川元子 写真●Getty Images)
『PK ~最も簡単なはずのゴールはなぜ決まらないのか?~』より一部転載

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PKの成功率は運なのか?
PK成功率の平均はだいたい78%くらいで、PK5本のうち1本は失敗する確率になる。この数字はワールドカップでのPK戦だと71%まで下がるが、ヨルデットはプレッシャーが大きくなることが選手に影響するからだと信じている。
イングランドと対戦するチームのPK成功率は上がる。イングランドは欧州選手権とワールドカップで7回PK戦を経験しているが、対戦チームの成功率は83%(35本中29本)だ。逆にイングランド代表は66%(35本中23本)しか成功していない。ヨルデットにはイングランドの成功率が低い理由がわかるという。
「イングランドの問題にはいくつもの要因が絡み合っている」と彼は言う。他所よりも選手に高い期待がかけられていて、選手がその期待に応えようと苦しむことも要因の一つだ。
「負ければ負けるほど、もっと負けるところを見ると、過去の数字もプレッシャーをより大きくする要素なのだろう。期待の高さと過去の戦績に加えて、イングランドの民族性が世界で最も個人主義的であることや、メディアがスケープゴートを探すことも要因となる」
欧州トップ8の代表チームのPKを調べたヨルデットは、ボールが来る方向にGKが何回ダイブしていたかも計算した。GKがボール方向にダイブしたとき、セーブする確率は30%高くなる。
つまりオランダやイングランドと対戦する他の代表チームのGKは、平均以上にボールが来る方向にダイブしていることになる。これはどうしてなのだろう? オランダやイングランドの選手はキックのコースが読まれやすいということだろうか? チェコやスペインの選手と比較して何が違うというのだろう? GKに背を向ける傾向があるというわけではない(オランダの選手は17%しか背を向けない)。またあわてるからでもない。イングランドはたしかに蹴るまでの時間が一番短いが、スペインもかなり早く蹴る。「これはチャンスの要素が入っていることを示すデータです」とヨルデットは説明した。
「イングランドは過去のPKで運がなかったのではないかと私は疑っています」
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