「PK失敗」を防ぐためのヒント。PK研究で名をあげたスポーツ心理学者が語る“二つの戦略”
2016年12月21日
メンタル/教育ヨルデットが徹底した2つの戦略
ああ、つまり運か!
PK戦はくじだと馬鹿にしていた監督たちは正しかったということか! そういうわけでもない。
「運の要素をすべて排除することはできません。先攻後攻を決めるトスに勝てるか、PK戦に最高の選手を揃えられるか、そういうことも運に入るでしょう」とヨルデットは言った。
「何もかもを自分たちの思い通りにはできない、というのは認めるし、偉大な選手だってミスはする。だからある部分は運なんですよ。でも運が働く部分をできるだけ小さくためにできることはたくさんあります」
どんな質問にもよどみなく答えてくれるヨルデットがだんまりを決め込んだ質問がある。どのチームと組んで仕事をしているのかと聞いたときだ。秘密保持は彼の仕事にとって非常に重要で、一緒に仕事をしているチームを明かすわけにはいかない、と彼は言った。(だがオフィスの壁にはACミランのペンダントが飾ってあったが)
「あなたがオランダのユースチームと組んでいたのは知られているではないですか?」と私はなおも食い下がった。「そうだけれど、あれは監督のフォッペ・デ・ハーンが言ったから公表したまでです。
組んでいる相手が誰であれ、私自身の口からは言いませんよ」ということは、もしかするとヨルデットはもうイングランド代表チームと組んでいるかもしれない。ポーカーフェイス(もしくはPKフェイス)の彼からはうかがい知ることはできなかった。
ヨルデットが最初にオランダのユースチームと組んで仕事をしたのは、フローニンゲンに引っ越した後に行われた2005年U−20ワールドカップのスタッフとしてだった。
「私はPKについてのポジティブな見方を彼らに植えつけようとした。PK戦こそきみたちが輝ける瞬間だと話したんだが、それはうまくいかなかった」
オランダは準々決勝でナイジェリアとのPK戦に9−10で負けた。
「試合を見ていて、私は二度とオランダで仕事することはないだろう、オランダ代表にかかわることは許されないだろう、と思っていた」ところが2007年デ・ハーン監督はU
−21欧州選手権のときにヨルデットをまたスタッフとして招聘した。
「よい成績を上げる可能性を高めるために、選手たちがとるべき姿勢まで研究した。彼らに成功させるチャンスを与えるためには、結局姿勢が大事だと思ったからだ」
ヨルデットが選手たちに徹底したのは、二つの戦略だ。
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