何を伝え、身につけさせるのか。子どもの成長を促すサッカークラブを運営する上で知っておきたい大切なこととは
2017年07月27日
コラムQ2
ジュニア大会を開こうと思っていますが、どうすればいいでしょうか?
(写真●中澤捺生/ジュニサカ編集部)
大会の規模を大きくすることは優先事項ではない
どの程度の規模の大会を考えるのかによりますが、はじめは、大会を求めている年齢層をリサーチすることだと思います。活動をを行っていくと、試合のある学年、ない学年など、活動の負荷自体もまちまちです。例えば、小学生だと5、6年生よりも3、4年生は大会に参加する機会が少ないと思います。
私たちが行っている「コパ・プーマ・トレーロス」という大会も現在では5、6年 生も対象にしていますが、最初は3、4年生だけが対象でした。大会を求めている子ども、チームに真剣勝負の場を与えることは、子どもたちが成長する上で大切です。チーム状況を見極めた上、レベル設定をした方が良いでしょう。
大会の規模によっては、スポンサーを探すことも大切です。欧州では街クラブ主催の大会が少なくありません。彼らは、行政よりでスポーツ関連の助成金を受け取ったり、地元の商店街から運営費を募っていたりします。日本ではまだあまりありませんが、目指していくべきモデルだと思います。ただ、日本でも近隣のスポーツショップなどをメインスポンサーとして大会を行うなど、地域還元を考慮したパターンが見られます。
私は、大会の規模を大きくすることは優先事項ではないと思います。大会は指導者同士や選手同士、チーム単位での交流の場でもあります。海外では、試合をするだけでなくパーティーの時間や懇親会を設けることが珍しくありません。「コパ・プーマ・トレーロス」では、海外チームを招致してホームステイを取り入れました。トレーロスの子どもたちの家庭に、外国の子どもたちがお世話になる形です。サッカー以外では、子どもたちが発案して観光案内するなどして、親御さんに引率してもらいました。子どもなりにいろんなことを考えますし、改めて日本の文化を知る機会にもなったようです。
子どもたちはあっという間に仲良くなりますし、今まで知らなかった異国の文化を知り、海外に興味を抱きます。実際に、子どもたちが夏休みには相手の子どもたちの国に行きたいと言い出しました。交流のある人や場所が増えることは、教育面でも有意義だと思います。自発的にいろいろなものを学ぼう、吸収しようという姿勢が生まれたのは、本当に収穫でした。海外ではなく国内の交流でも同じような効果が得られると思います。
このような大会としての工夫は参加チームに理解がなければ難しい面があります。ですから、参加チームの数やレベルを考えるよりも、最初はできるだけ似た方向性を持ったクラブが集まるとやりやすいのではないかと思います。継続的な開催を目指すうえでも、大会の雰囲気作りはプレーレベルと同等かそれ以上に必要なものです。
大会運営面については、まず試合数の確保が重要です。遠征するチームが1日に1試合しか経験できないとか、午前中の試合から午後の試合までの時間が極端に長いといったケースは少なくするべきです。
できれば1チームあたり60〜90分は試合をできるようにスケジュールを組めると理想的です。また、安全面の配慮も大事です。2つのピッチを縦並びではなく横並びにすることでゴール前に別のピッチのボールが 入りにくくなるように考慮するとか、ボールが行き交う場所を通路にしないといった配慮が必要です。できれば、各会場に1名以上のトレーナーを主催者側で用意できると良いですね。「コパ・プーマ・トレーロス」では、ケガをした場合に応急処置をするためのトレーナーブースを設けるようにしています。それから、会場近辺の病院の位置を事前に調べておき、連絡を取っておくこともオススメします。
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