「夏休みのうちにどれだけ心身ともに追い込めるかが大切だ」。日本の“夏トレーニング”に対する違和感

2018年07月19日

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体に負荷がかかった後は十分な休息が必要

 昨年7月下旬、ドイツサッカー連盟(以下、DFB)とドイツプロコーチ協会(以下、BDFL)が共催した国際コーチカンファレンスに参加しました。このカンファレンスは、ドイツサッカー協会公認A級、およびプロコーチライセンス(日本のS級相当)取得者が参加でき、ドイツサッカー協会テクニカルチームのワールドカップや欧州選手権の分析や傾向、スポーツ学・心理学の大学教授やDFB専任指導者による講義・トレーニングデモンストレーションが行われます。

 その中でボーフム大学の心理学者・ ケルマン教授の講演内容が今回のテーマに合致しているので紹介します。彼が最初に強調していたのは「選手のパフォーマンスレベルを成長させるためには、ストレスと休息のバランスに気をつけなければならない」ということでした。

 トレーニングを行えば、誰でも身体や頭にストレスや疲れが溜まります。疲れがある状態ではパフォーマンスレベルを向上させることはできません。負荷がかかった後では十分な休息を取ることで、体は癒され、トレーニング前よりも鍛えられた状態になるわけです。そこでまたトレーニングをするからこそプラスの効果が生まれ、より良いパフォーマンスを出せるのです。

 では、実際にどのくらいの時間、休息をとれば体は回復しするのでしょうか? サッカー界で言われている練習時間の90分間、ずっと激しいプレーをやり続けるインテンシティの高いトレーニングや試合にフル出場した場合は約72時間の休息が必要だとされています。そこまで負荷が高くなく、技術系のトレーニングを中心にしたとしても、24時間の休息は必須です。

 ただ、72時間休みが必要だといっても、その間ずっと完全休養というわけではなく、1日の完全オフを取ったら、あとの2日間は負荷をかなり落とした状態でパスやドリブルといった技術練習、ステップワークやスピードコントロールといったコーディネーショントレーニングを行うというように、負荷がしっかりコントロールされた練習をすることが推奨されています。

 ケルマン教授はハードなトレーニング自体を否定したりはしていませんが、「選手に高い要求を課すこと自体は悪いことではない。ただし、心身の疲労を回復できる休息のプロセスが準備されている限りにおいて、だ」と、あくまで休息時間とのバランスをとることの大切さを訴えていました。

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