フットサル=スモールサイドのサッカーでいいのか? 「少人数制」のメリットを考える【8月特集】
2018年08月31日
育成/環境インテリジェンスの定義はサッカーもフットサルも同じではないのか
ただ一つだけ、大阪市ジュネッスFCに注文をつけるとしたら、今後フットサルのオフ・ザ・ボールの動きに目を向けてほしい。サッカーよりも豊富で多彩な動き方があるフットサルを、彼らが身につけたらもっと多様な攻撃と個々の豊富な引き出しが見られるはずだ。
そこ点については、フウガドールすみだの須賀雄大強化本部長兼監督も度々語っている。例えば、「2対2」におけるサポートの質を上げることでビルドアップやゲームメイクでの再現性を高められるなど。そういう視点で今一度、5回に渡るインタビューを読み返してほしい。
フットサルもサッカーと同様、チーム戦術に取り組むのはジュニアユースからだそうだ。つまり、ジュニアの間は個人のベースを高め、周囲との関わり合い方を学び深めていく。これはサッカーと同じ考え方であり、フットサルを有効活用できる理由なのではないだろうか。
繰り返しなるが、フットサルのプレーをそのままマネてサッカーに通用するとは思わない。
しかし、フットサルも同じフットボールという括りに入るわけなので、他の競技よりも有効活用できるものは多いと思う。なぜ、こういう指摘をしているかといえば、今回のバーモントカップで4、5チームのサッカークラブに「フットサルをトレーニングに取り入れているか」という質問をしたところ、すべてのチームが「全く取り入れていない」と答えたからだ。ちなみに、前もってフットサルを導入しているクラブには聞いていない。
少なくともビルドアップ時のファーストディフェンダーのライン突破のやり方、オフ・ザ・ボールのプレー、基本的な守備の方法などいくつかの項目は、サッカーでも十分に取り入れられるものだ。
この特集の最後は、須賀氏が語ったこの言葉(「認知-決断-実行」は同時に伸ばす。考える力を身につけることが「成長への一番の近道」)で締めたい。これはサッカーにおいてもきっと同じだ。
「ピッチが狭い分、 引き出しがないとプレーが停滞してしまいますし、手詰まりになってしまいますからフットサルで引き出しの多さは必要不可欠な条件です。ロシア・ワールドカップでもベタ引きのチームが多く見られましたが、サッカーでもあれだけ引かれてしまうと手詰まりになっていました。フットサルはもともとスペースが狭くゴールも小さいので自然にそういった状況へ適用しやすくなってきます。
逆に相手が自陣のスペースをオープンにして、ものすごい勢いでプレスに来た時に、それにビビってボールを蹴ってしまうのか、来た圧力を逆にどうやって攻撃に生かすのかも引き出しの多さに起因していくところです。プレスに行きたい相手に全部ボールを晒してプレーしたら取られてしまいます。では、取られない位置にボールを動かして一見体の向きは悪いけど、あえてそこを引きつけさせてワンツーやくさびのパスを狙っているプレーだったらその寄せを十分に利用できると思います。
そういったプレーをインテリジェンスのあるプレーと言うと考えています」
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