なぜ4種の選手は「多忙」なのか…。少年サッカー界が抱える”トレセン”の深刻な問題/指導者座談会2【9月特集】
2018年09月21日
コラム
時代にあったトレセンの在り方をJFAがもっと考えるべき
末本「『独自のトレセン』という言い方をされましたが、東京にもそういうものが存在するんですね」
小嶋「東京は16ブロックに分かれていて、その中で23区と市が入っているのですが、うちの3ブロックは練馬区だけで1つのブロックです。他は、例えば杉並と中野の2つの区で4ブロックとして構成されています」
高橋「東京都の技術委員みたいな方がJFAからの落とし込みをされるようなことはしないのですか?」
小嶋「落とし込みはありますが、そこからブロックごとのレベル等によって変化していくので統一性はありません。地域によっては何ブロックかが集まっていることもあるので、JFAからの情報も入ってきているはずです。だから、そういう情報に敏感な指導者が集まれば、指導レベルも少しは上がるのかなという印象です」
末本「私たちの所属区でも選抜チームというのがあります。それは横浜市が行っているトレセン活動とは別物です。各チームから5名の選手を出し、選考会なるものがあって選出されます。熱意のある先輩方がしている活動なのでありがたいことなのですが、チーム活動、トレセン、地域選抜とここでもまた様々なものが乱立している状態です。指導現場として統一した何かが選手たちに伝わっていればいいのですが、そういったものもありません。このあたりは整備が必要だと思います」
小嶋「理想として形作っているだけで中身が追いついていない印象です。今年は東京トレセンに選ばれている選手もいますし、過去もいましたが、そこまでのトレセンに選ばれると多くのメリットがあります。それはスカウトの目に止まったりする機会があるからです。Tリーグや大きな招待大会に参加した方がJクラブ等のいろんなクラブのスカウトの目に止まるのでメリットは大きいのかなと感じるところです。東京も何年後かにはトレセンの指導者資格が『B 級ライセンス保持者』になるような話があるので、地域レベルのトレセン自体が存続するのかは少し疑問に思うところではあります」
木之下「トレセンが始まった理由は、そもそも昔は地域の指導者のレベルがあまり高くなかったので、質の高い指導者のもとにうまい選手を集めて質の高いトレーニングをしようというのがきっかけとしてあったのだと思います。
ただ今はクラブで指導している30・40代のコーチは勉強熱心な方が多いし、しかも20代の指導者はベースとなるサッカーの知識が20年ほど前とは比べ物になりません。各クラブに優秀な指導者がいるなか、私は非常に指導レベルが上がっていると思っています。そうした時に、トレセンが『個の育成』の場であっていいのかということです。
JFAユース育成ダイレクターの池内豊氏はジュニサカ最新号の取材で、具体的に『トレセンは個人戦術を磨く場だ』とはっきりおっしゃいましたが、個人的に今の時代それはクラブで指導することだと感じています。もしトレセンを続けるのなら、私はもう一つ上の段階にいくべきだと思っています。
例えば、東京都としては、大阪府としてはという考えで、グループ寄りの指導がなされるべきなのかなと考えています。サッカーをもっと構造的に理解するためにチームとしての大枠のプレーモデル、そして、その中で個人のプレーの仕方を学ぶ場であっていいのだと思っています。
それをトレーニングに落とし込んで、レベルの高いチームでしか経験できないような学びを子どもたちに提供する場であっていいのではないか、と。それがFFPであるべきだし、都道府県トレセンであるべきだというのが私の考えです」
末本「トレセンは個人戦術を磨く場なんですね」
木之下「育成のトップにいる方がはっきり発言されましたし、FFPを取材した中澤さんもそれを現場で聞いています」
末本「アーセナルさんやその他クラブチームができてきて、昔よりも指導レベルの向上と共に選手たちのレベルが上がってきているのは間違いありません。JFAのトップの方がトレセンの在り方をそのように言われているのは非常に興味深いです。個人戦術を自分と相手と味方でどのようにプレーするかと定義した時、レベルの高い個と共にグループで相乗効果を発揮し、成長するという視点で、木之下さんの言う『上のレベルでやっていく意味を問う』のはおもしろい考えです」
木之下「チームからわざわざ選手を出すわけで、良い環境でプレーをするということはそういう意味だと思うので、当然棲み分けがあって然るべきかな、と思います」
末本「先ほど小嶋さんが言われた通り、上のレベルのトレセンに行かないと意味がないということですね」

【特集の企画を担当しているライターの木之下潤】
【第3回】チームをどうオーガナイズするのか。指導者が考えるべき「環境設定」
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