サッカーは“個人競技”ではない。「良いプレー」とは何か
2018年10月22日
コラムチームスポーツは個人に焦点を当てるだけではない
またマルティ・オルテガ(2008)が説明するように、認知された情報は判断のプロセスの中で常に評価を受け続ける。ゆえに、他の決断のモデルにおいて見てきたように、サブアクションにおいて決断のプロセスを分けて考える事はできない。
決断とアクションは相互依存の関係にあり、内在する特有の条件や、プレー中に影響を受ける外的な条件に適応していなければ良い決断は下せない。これまでに述べたことを基にすれば、古くから存在する「テクニックと戦術の2つのプロセスを分離し、両方を分けてトレーニングすることが可能である」というコンセプトに疑問を持つようになるだろう。
一方、サッカーのようなチームスポーツにおいては、個人に焦点を当てるだけでは効果的なアクションについて理解することはできない。自チームの他選手と、相手チームとの関連を考慮したうえで実行しなければ、効率的なアクションにはならないだろう。
例えば、グラウンドの深い位置にあるスペースへ正確なパスを送ることが「正しいプレー」とする状況であっても、味方がボールを足元で受けるためにマークを外すアクションをしたなら、そのパスは効果的ではなくなる。
「いいクロスだったぞ!飛び込む選手がいなかっただけだ」といった声がけを頻繁に耳にするが、考えなければならないことは「なぜシュートを打てる選手がいないのにセンタリングをしたのか?」ではないだろうか。
<関連リンク>
・サッカーにおける「スピード」の定義とは? 足の速さだけが「スピード」ではない
ラファエル・ポル
1987年、スペイン生まれ。スペインの体育大学であるINEFで学士課程を習得。その時に書いた卒業論文が、バルセロナフィジカルコーチの権威とも言われるパコ・セイルーロの目に止まる。24歳の時には、ルイス・エンリケがセリエA・ASローマの監督に就任すると同時に、フィジカルコーチとして招聘され“チーム・エンリケ”の一員となる。セルタを経て、2014年からFCバルセロナのフィジカルコーチに就任。2014-15シーズンは、リーガ・エスパニョーラ、コパ・デル・レイ、チャンピオンズリーグの三冠獲得に貢献した。
【商品名】バルセロナフィジカルトレーニングメソッド
【価格】2,484円(税込)
【著者】ラファエル・ポル
【翻訳】坪井健太郎
【監修】小澤一郎
インテンシティーを重んじる現代サッカーに必要なスピードとパワーを強化する「フィジカルトレーナーは、フィジカルトレーニングの実行と関連する人間の動きの原動力と生物学的プロセスの専門家として、選手とチームに期待する適応が発生するためにトレーニング計画に協力するべきである」
「サッカーにおけるスプリントの必要性は、直線を走ることよりも方向を変えることに特徴づけられている」
「トレーニングプロセスにおいて判断(戦術)のプロセスと、アクション(技術とフィジカル能力)のプロセスを分けて考えることは間違っている」
「ジムのマシーンでのトレーニングは、選手のコーディネーションのパターンを尊重しておらず、結果的に多くの支障をもたらす」
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