プレーモデルに沿ったトレーニングはなぜ必要なのか?【10月・11月特集】

2018年12月07日

サッカー練習メニュー

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プレーモデルがあるから「インテリジェンス」が育つ

――個人的には、寺子屋的な発想で有志が集まって現状の打破に動くのもありなのかなと思います。

濱吉「同感です。名前や形にとらわれず、ディスカッションする場は重要です。最近の中国はものすごい勢いで投資をしていますから。海外クラブを買い取り、メソッドごと吸い上げるようなパワーがあります。日本では現実的ではないので、寺子屋的なものはすごく魅力的です。私や白井裕之さんや中野吉之伴さんや坪井健太郎さんや倉本和昌さんなど、海外で指導経験のある方々が集まって『指導者サミット』という形で自らの経験を話し、日本はどうすればいいのかということを議論する場があればおもしろいと最近は考えています。最近はヨーロッパでもプライベートセミナーが増えているようなので」

――9月に坪井さんから聞いたのは、プロクラブの様々な立場の人たちが集まってプライベートセミナーを開いて地域の指導者に質の良い情報を提供しているということでした。

濱吉「例えば、JFAがヨーロッパに一つ拠点を作り、それぞれの国で活動している指導者を派遣して情報を吸い上げ、日本に還元していけばいいと昔から思っています。レポートや映像を送ったり、定期的に情報交換をしたりするだけなので難しいことでありません」

――アジアの極東なのに、これだけ世界各国に指導者が散らばっているのは珍しいと思います。

濱吉「私がヨーロッパに渡った頃は、ローカルでしかサッカー指導ができませんでした。でも、今は結構な有名クラブで指導できています。そういう経験やクラブのノウハウを使わない手はありません」

――そろそろ時間が迫ってきたのでジュニア年代の環境についても話をしたいです。ヨーロッパと違い、リーグ戦や試合の出場環境など様々な課題があります。

濱吉「プレミアリーグU-11で実施されている『3ピリオド制』は個人的に素晴らしい取り組みだと思います。私も4種の試合を見ていて残念な気持ちになるのは、試合に出場できない子がたくさんいることです。長い時間グラウンドにいて出場時間が5分しかないのは非常に悲しい限りです」

――最後の5分ですもんね。

濱吉「それで『這い上がってこい』とか無理に決まっています。本来スポーツはできないことができるようになったり、新しいことを獲得できるようになったりすることがおもしろいんです。日本では、環境という点でタレントを失っていることも多いと思うのです。

 中野さんの本『年代別トレーニングの教科書』に書かれているドイツのトレセンの制度なんかはすごくいい内容だと思います。あれだけサッカー人口が多いのにもかかわらず、トレセンを使って下からしっかり選手に機会を与え、タレントを大切にしています。アイスランドなんかは人口35万人しかいないと考えると、ワールドカップであれだけ戦えるのは驚異的です。

 一昔前、田嶋幸三さんや小野剛さんが中心になってグローバルスタンダードが少しずつ日本に入ってきました。そういう意味で、今は新たなグローバルリーダーがサッカー界自体にいないのかもしれません」

――日本がアジアの絶対的なリーダーという立ち位置でもありません。

濱吉「日本には溢れている指導者がたくさんいますからアジア各国に送り込めばいい」

――東南アジアも経済発展していますからね。ちょっと時間になってしまいました。最後に一言お願いします。

濱吉「最近はプレーモデルという言葉が流行っています。では、一体その目的は何なのか。それはゲームインテリジェンスを身につけるためです。答えを導き出す判断を早くするためにプレー原則があり、ゲームモデルがあるのです。そのためにウォーミングアップからメイントレーニング、 そしてミニゲームまでテーマを紐づかせるのも共通理解のもとに現代サッカーに対応するプレースピードを上げ、インテリジェンスのある選手を育てるためです」

――今回は長い時間、本当にありがとうございました。

<関連リンク>
・【10月・11月特集】「トレーニングをデザインする


<プロフィール>
濱吉 正則(はまよし まさのり)

1971年7月5日生まれ。UEFA公認プロコーチライセンス所持(JFA 公認S級コーチ相当)。大学卒業後の1995年にスロベニアへコーチ留学。帰国後は名古屋グランパス、徳島ヴォルティス、ギラヴァンツ北九州などでコーチを務めた。2016年にSVホルン(オーストリア)の監督に就任。現在は九州産業大学サッカー部の監督として活動している。


 

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