プレーモデルに沿ったトレーニングはなぜ必要なのか?【10月・11月特集】
2018年12月07日
サッカー練習メニュー近代サッカーにおいて「プレーモデル」はクラブに不可欠な要素となった。それはプロチームだけでなく、4種年代の町クラブ、少年団も同じである。なぜ「プレーモデル」は必要になってくるのだろうか?その答えをヨーロッパのプロリーグで日本人初の監督を務めた濱吉正則氏が教えてくれた。10月・11月特集の「トレーニングをデザインする」からお届けしてきた濱吉氏のインタビューも今回で最終回となる。
【10月・11月特集】「トレーニングをデザインする」
取材・文●木之下潤 写真●ジュニサカ編集部、Getty Images
第3回 10年後に通じるサッカーを見据えたトレーニングを行うこと。それがゴールであり、目的 の続き
トレーニングには常に2つ以上の要素を認識して行う
――ボールから近い人、中間の人、遠い人とでプレーへの関わり方が変わるので、指導者もそんな視点が必要です。
濱吉「サッカーはボールがない時の動きも重要です。だから、それだけを見ようとしても難しい。だからこそトレーニングのオーガナイズで選手にわかりやすく構造を伝えられる機会を増やす必要があるわけです。繰り返しになりますが、11人制サッカーを覚えるための最小単位の人数は4対4です。なぜなら3対3では広がりと深さを同時にうまく作ることができないからです。
この選手がボールを持っている時に君はここで受けなさい、君はここでフォローしなさい…そうやって教えていけば共通理解が増え、その時のプレー原則を学び、それがサッカーをうまく表現できるプレーインテリジェンスへとつながっていきます。そのためには誰と誰のコミュニケーションが発生しているのか、また考えられるのかに目を向けたらいいので難しいことではありません。これは戦術そのものです」
――ボールを中心に見て、一人ひとりに幅を取るのか深さを取るのかを聞くだけでサッカー理解が随分進むはずです。
濱吉「よく小学校低学年のサッカーは団子サッカーだと言われます。でも、それ自体が悪いわけではありません。むしろ団子サッカーならないようにするためにはどうしたらいいかを解決していくと、プレーモデルの構築に近づくと思います。3対3からでも、4対4からでもいい。私もプロコーチライセンスを取得するまでにサッカーの指導を体系化として教わっていますが、実際にそれ通り使ったこともあれば、使わなかったりすることもあるわけです。すでにボールが蹴れる選手にキックの基本トレーニングをやることはないですし、選手同士でどんなつながりを持ってプレーするのかというコミュニケーションの要素を考えると、トレーニングには常に2つ以上の要素を認識して行わなければ試合に生きるプレーは養えません」
――第一回(「練習メニューの継ぎ接ぎ」では選手に伝わらない。トレーニングはどう構成すべきか?)のトレーニングの原則に戻りますが、パスにしても三角形から四角形に変えるだけで習得するテクニックの質が変化します。戦術的なトレーニングも人数を減らす、グリッドの形を変えてトレーニングの難易度をメンタル的に適切にするのは基本です。そこをどうやったら理解してもらえますか?
濱吉「サッカーは多面的ですからね。でも、トレーニングのベースは幅と深さを元に『コミュニケーション=共通理解を高めていく』と考えていけばわかりやすいのではないでしょうか」
――個人的にコミュニケーション(=個と個のプレーの成立=共通理解)という言葉の使い方は非常にいいと思っています。
濱吉「なぜコミュニケーションを取れることが大事だと思いますか?それは味方の力を引き出せるかどうかを左右するからです。だから、トレーニングはある程度のプレッシャーの中でプレーすることが必要です」
――コミュニケーションでいうと、味方が10mのキックができるのか、30mのキックができるのかで随分変わります。
濱吉「その通りです。あと、ミスしても理由がはっきりします。届くか届かないかでポジショニングも変わり、それによって相手の人数も変わります」
――ミスの理由がわかれば、指摘すべきことはキックなのか、ポジショニングなのかとアプローチも明快です。日本の指導者にコミュニケーションと言うと、言葉を使って話すことだと解釈しています。
濱吉「直訳したら相互協力のようなことだと思います。それがそのうち共通理解に変わっていきました。言葉のコミュニケーションも、動きのコミュニケーションも、どちらにも共通するのはプレーのインテリジェンスに関わるということです。そして、それはサッカーのゲームの中で学ぶものです」
――セミナーで説明された「2対2+2対2」の練習はサッカーの構造を理解していくには理に適った内容です。
濱吉「あれは最初に『1対1+1対1』から始めるのです。そうするとオン・ザ・ボールからのスタートと、オフ・ザ・ボールからオン・ザ・ボールからのスタートと2つの状況が生まれます。
前を見る。
マークを外す。
キープをする…etc
そこから発展させて『2対2+2対2』にしていきます。『1対1+1対1』はボールと自分を見るから縦方向を意識しますが、2対2になると横方向も加わります一人が縦方向に進むからフォローとして幅をとってプレー環境を作る。最終的には幅と深さになっていきます」
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