育成年代で「普遍的な戦術」を教えなければ、新しい環境に順応できなくなる

2019年03月08日

育成を考える

「ボール周辺の雲行きを探る」

Q.スペインと日本での、攻撃から守備への局面、トランジションの局面での、インテンシティの強度とか、ボールへのプレスのかけ方は何が違うか。

坪井 インテンシティの部分でいったら、まず球際の部分は違うよね。
 
倉本 全然違う。多分それは、サッカーって何なんですかっていうのになってくる。サッカーって戦いなんですよ。なぜなら2チームあってボール1個しかないから。だからそもそも、戦わなきゃいけないのは、前提として当たり前で、その中に戦術があって賢さがあってというふうにスペインではなっている。日本はそこが抜けている気がする。
 
坪井 喰いにいく感じはあるよね。ガッとね。
 
倉本 それは国民性もあるかもよ。止まれって言わないと止まらないもんね。スペイン人は。日本人は行けって言わないと行かない。
 
坪井 それは両国を知っている指導者としては使い分けって大事だよね。スペインの感覚で何も言わずにガッといってくれると思っていたら、日本では違う。逆も然り。
 
 もちろんチーム単位での違いもあって、前へのプレッシングも日本人はまず、前から行かせて剥がされることを覚えた方がいいと思う。特に低年代では。待つことが日本はスタートだから。あえて行かせて、プレスを剥がされる。剥がされるっていう感覚は待つことをやり続けても覚えられないんですよ。このプロセスはすごく大事。これは私自身が失敗した経験から学びました。日本の高校生を指導したときに中盤でブロックを作って「だいたいセンターサークルあたりまで入ってきたら、(プレスに)行こうね」という話をしていたのですが、僕は伝えるのに『待つ』という言葉を選択したのもまずかったんですけど、相手のプレーがグレーゾーンのときに『待つ』という言葉が頭の中に残ってしまっていて、相手がドリブルしてきたときに、自チームの2トップが相手を簡単に前進させてしまったのを見たときに、日本人はまず(プレスに)行かせることを覚えさせなきゃ行けないなと思った。
 
木之下 『行かせる』という言葉もむずかしいですよね。僕は「ボールに近い人が守備を決めるから、まず行け」と子どもたちにも指導者にも伝えています。そうすると行くんです。あまり細かいことは決めなくとも前の選手が行けば、後ろの選手は「この人が行ったら、周りの人はこれぐらい行かなきゃあいつだけだと間に合わない」と自然と身につくようにしていく。だから、言い方は気をつける必要はあると思うんです。「まず行け」だとアバウトすぎて絶対守備のスタートにならない。「まずはボールに近い人が第一号としてまず行け」みたいな具体的な指示じゃないとトランジションを覚えないと思います。
 
倉本 小学生であれば、僕は「捕まえろ」って言ってましたね。鬼ごっこでは、絶対捕まえようとするでしょう? 「そこにたまたまボールがあるだけだから相手を捕まえに行け」と言ったら、小学校4年生以下の子どもだったらだいたい今までよりも近い距離感でボールを取りに行く。プレッシャーの距離は絶対変わります。
 
坪井 切り替えの時、ボールを失った瞬間に足が止まっちゃうというのは、日本人選手によくあると思うんだけど、それは何で起きちゃうんだろうね。
 
倉本 それは前提というか、グレーなところがないんだと思う。「あ、取られそうかも」という認識がないのかも。
 
 サンフレッチェ広島やヴィッセルでかつて監督をやっていたスチュワート・バクスターは「雲行きを探れ」と言っていました。ボール周辺の雲行きを探りなさいって。雨が降りそうなのか曇りなのか。「あ、もしかしたら取られそうかも。あ、取られた→切り替え」ってなるけど、そういうことをあまり気にしていなくて「あ、取られた。まさか…!あー。→切り替え」という感じになっていると思う。
 
 逆をいえば「あ、取りそう」も同じ。「取りそう」でゴーするのと「取った」でゴーするのとではカウンターのスピードは変わります。その雲行き探るのが苦手なんだと思う。ようするに予測と判断ですね。
 
坪井 スペイン人もそう考えると、止まるのかなってちょっと思った。ようはボールを取られて「おーい!」のような。それはスペインの場合、指導者は「見てないで続けろ」と言うわけじゃん。

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