共通理解「いのちの危機」が新たな試み“久我山クリニック”を生んだ

2019年07月31日

育成/環境

7月の特集は「夏のトレーニングを見つめる」と題し、学校リスク(スポーツ事故、組み体操事故、教員の部活動負担・長時間労働など)をテーマに研究している名古屋大学大学院教育発達科学研究科の内田良准教授と、文武両道を掲げて全国大会でも素晴らしい結果を出している國學院久我山高校サッカー部の清水恭孝監督を取材。前回から清水監督に現場で「夏場のトレーニングにおいてどのような取り組みをしているのか」語ってもらった。インタビュー第2弾では、トレーニングの質について、また清水監督が描いている目標について、ほかでは聞けない面白い話をしていただいた。
      
【7月特集】夏のトレーニングを見つめる
   

取材・文●木之下潤 写真●ジュニサカ編集部、Getty Images


Kokugakuin Kugayama v Maebashi Ikuei - 94th All Japan High School Soccer Tournament Quarter Final
      
フィジカルトレーナーとの夏場の取り組み

――フィジカルコーチの三栖英揮さんはどんな経歴の方なんですか?
 
清水「三栖の会社はクリニックと提携しているんです。そこにはリハビリ施設があり、ドクターといつも一緒に動いています。彼はカルテを読むこともできるんです。経歴が変わっているんですよ。中卒でブラジルに渡り、帰国して大検を受けて、スポーツ科学の専門学科を卒業して…その後のスポーツ界のキャリアを見ても、とにかく優秀です」
 
――少し検索してみましたが、オリンピックの強化スタッフだったり、すごい経歴ですよね。トレーナーでも、たまに病院の中で活動されている方がいらっしゃいます。
 
清水「現在、うちには彼の会社から彼とトレーナーの平野雅之が来てくれています。うちの選手はケガをしたら必ずそこに行きます。むしろ『必ずそこに行きなさい』と。それでドクターの見解によってリハビリのメニューが決まりますから、三栖と平野から直接私に入ってくるようになっています。そこはすべてがクリアです。ケガから復帰までの過程を効率化していくことも、すごく大切なことなのではないかと思っています」
 
――実際、ケガは少ないですか?
 
清水「かなり少ないです。私が最初に久我山に来たころは『何でこんなにケガをしているの?』と思ったくらいでしたから。しかも、ケガかどうかもよくわからないケガばかりなんですよ。それで、三栖が来てからはほとんどケガ人も出ません。もちろんファウルをされることもあるので、まったくないことはないんですけども。
 
『腰が痛い』
『膝が痛い』
『肉離れした』
 
 いわゆる一般的な痛みやケガはほとんど起こらなくなりました。やはり年間を通してリーグ戦を戦うには、ケガをしないことがすごくプラスになっています。栄養指導もしてくれますし、夏の水分補給のことも選手にしっかり教えてくれます」
 
――今回の特集テーマは「夏」になるんですけど、夏のトレーニングはどこまでやっているのでしょうか? 三栖コーチと話をしながらだとは思うんですけども。
 
清水「『熱中症の原因は?』となったときに、栄養の問題や睡眠の問題などがあると思います。そういうことは、常に三栖と平野が日ごろから選手たちに伝えてくれています。定期的に栄養学の話をしたりとか、大切なことを言ってくれています。だから、私たちコーチは15分、20分くらいの間隔で水分を摂らせたり、練習時間をコントロールしたり。でも、もともと練習時間は短いので、夏はさらにギュッとやる感じです。そういった意味では、トレーニング自体で私たちが注意することは水分補給と強度のコントロール。でも、強度については普段から短い時間で集中した取り組みをしているつもりなので…。まぁ、夏場なので負荷に気を配ったりはしますが、基本的に年間を通して積み上げている状況は作っているのかなとは思っています。
 
 夏だからこうしなきゃいけないとか、冬だから長くやっていいとか、そういう概念はありませんから。夏は日差しが強くなりますし、暑くなってきたばかりの時期は熱中症になりやすいので、その時々で少し抑えた練習をしたりとか、子どもたちの状態を見ながらアプローチをしていることに変わりはありません。だから、子どもたちが熱中症になるということは『君たちに問題があるんじゃないの?』と、普段の生活の仕方とか、そういう問いかけは行います。でも、彼らは勉強もするので、睡眠不足は仕方がないのかなと思ったりはします」
 
――その部分は進学校ならではの悩みかもしれません。
 
清水「でも、『食事は取れるよね』という話はします。例えば、この間も練習ゲームの時間が早かったんですけど、『朝食を食べていない』という選手がいました。だから、一回集合して『命の問題だから。パフォーマンスが悪いくらいなら、監督から怒られるだけだけど、命の問題だよ』と怒りました。でも、そこは彼らも私たちを信頼して聞いてくれています。時期によっては『暑くなったから気をつけろよ』とは言いますが、トレーナーがよくやってくれているので、安心して任せています」

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