指導者は「金の卵を育てている認識を持つべき」。ミゲルが語る「失敗」の必要性
2017年11月22日
コラムジュニア年代では、子どもたちの持つ才能=金を山脈の中から見つけ出し、キレイに洗い流して磨きあげることが大切だ。泥や小石に紛れた「金=才能」は見つけにくいものだし、発見してもまだ光り輝いてはいない。そこで、丁寧に汚れを洗い流し、磨く作業が必要になる。ミゲル・ロドリゴは、それが私たち指導者に課せられた使命だという。その金=才能は同じ形はしておらず、テクニック、戦術、メンタルなど異なる形をしている。だから、みんなを同じように扱うのではなく、その子に適した指導で「いい形だ」と認めながら伸ばすべきなのだ。
【連載】ミゲル・ロドリゴが教えてくれた「才能を引き出す」11の魔法
企画・取材・文●木之下潤 写真●Getty Images、村井詩都
選手と同じように、指導者も失敗から「学び」が始まる
指導者が、最も学びを得られる『キッカケ』は何だと思いますか?
答えは、選手たちが練習の中で教えてくれています。それは『失敗』ではないでしょうか。私も選手たちと同じように失敗から多くを学んできましたし、今後も続いていくでしょう。サッカーにおいても、人生においても、私たちが成功や成長を求めるとき、思案するキッカケを与えてくれるのは失敗です。
失敗せずに、成功するためにはどうしたらいいか。
そう、考えることから始めます。特にサッカー選手は、ジュニア年代が一番伸びる時期です。彼らが自分の失敗にどう気づき、どのように修正し、そこから何を学ぶのか。ここに私たち指導者はうまくアプローチすべきなのです。その年代のうちに、子どもの中にそういうサイクルを築くことが大事です。なぜなら、それが『自らで成長する力につながる』からです。
だから、子どもたちが何かうまくいかないな、と感じながらプレーしていたとしたら、指導者のアプローチが失敗している可能性がありますし、常にその謙虚さを持つことが必要です。私たちが失敗に対して、どんな姿勢で、どんな行動をとるのかは、子どもたちの学びに大きく影響します。
それはフットサル日本代表の選手たちにも同じでした。彼らにも、最初は『どう判断するのか』に気づかせていました。私はまずポジティブなところから話を始めますが、頭の中には『修正までをどう運んでいくか』がすでに構成されています。このやり方は子どもに対しても同じです。
具体的には、次のような流れです。
「トライしようしたことは悪くない」
失敗した子どもに声をかけるとき、はじめからミスしたことを指摘しません。遠回しに「こうすれば良かったんだ」と気づかせるように、そのシーンを思い起こさせることが重要です。「君がやったことはダメだったんだ」と否定するのではなく、ミスした子どもの気づきのスピードに合わせて問いかけていくのです。
「いまの決断は良かった。悪くはなかったけど、他にもっと違う選択肢があったんじゃない?」
そう伝えて、失敗した瞬間の状況を一つずつコマ送りしながらヒントを与えます。
「右も見られたんじゃない?」
「誰がいる?」
「ディフェンスの選手はどっちが多い?少ない?」
「左が多いなら、どっちから攻めた方がいい?」
子どもたちが学ぶ力を身につけるには、『どう判断したのか』という内容の質が関わります。その質を上げるためには、私たち指導者が『どう気づかせるのか』が大きな鍵を握ります。直接的ではなく、子ども自身が気づくように導いてあげること。子どもたちの成長において重要なのは結果ではなく、プロセスです。単純に「そうじゃない!」とミスを指摘してしまったら子どもたちは萎縮してしまい、その後、どんなに優しくミスを修正しようとしても耳には届きません。
だから、私たち指導者は感情をコントロールできなければいけません。心の中では、どんなに怒りが爆発しそうでも、表向きは冷静でいなければなりません。いかに『役者』になれるのかも大切なことだと、私は思っています。

カテゴリ別新着記事
ニュース
-
東北トレセン女子U-14が開催!2025.10.24
-
東北トレセンU-14が開催!2025.10.23
-
【JFAエリートプログラムU-14日韓交流戦】参加メンバー発表!2025.10.22
-
U-15日本代表、フランス遠征参加メンバー発表!【バル・ド・マルヌトーナメント2025】2025.10.21
フットボール最新ニュース
-
鈴木唯人が貴重な先制点でチームを勝利に導く【23日結果まとめ/欧州EL】2024.05.21
-
日本人対決でリバプールが5Gで圧勝【22日結果まとめ/欧州CL】2024.05.21
-
バルセロナが6発大勝。エースもゴール【21日結果まとめ/欧州CL】2024.05.21
-
日本人選手所属ザルツブルクは後半AT弾で敗戦【25日結果まとめ/欧州EL】2024.05.21
-
ベティス、マンUから完全移籍の7番が劇的同点弾【24日結果まとめ/欧州EL】2024.05.21
大会情報
-
【卒業記念サッカー大会 第18回MUFGカップ 大阪大会】大会結果2025.03.07
-
【卒業記念サッカー大会第18回MUFGカップ 東京大会】フォトギャラリー2025.03.03
-
【卒業記念サッカー大会第18回MUFGカップ 東京大会】F.Cボノスが逆転勝利で優勝を果たす!<決勝レポート>2025.03.01
-
【卒業記念サッカー大会 第18回MUFGカップ 愛知大会】大会結果2025.02.25
お知らせ
人気記事ランキング
- 【JFAエリートプログラムU-14日韓交流戦】参加メンバー発表!
- 成長期におとずれる「クラムジー」に対して保護者と指導者は何をすべきか?
- かつて“怪物”と呼ばれた少年。耳を傾けたい先人の言葉
- “早熟タイプ”か“晩熟タイプ”か。成長のピークはいつ訪れる? 子どものタイプを知ろう!!
- U-15日本代表、フランス遠征参加メンバー発表!【バル・ド・マルヌトーナメント2025】
- 「目指すサッカー」がない指導者が明確な言葉を子どもに伝えられると思いますか?【10月・11月特集】
- 「2023ナショナルトレセンU-13 関東」参加メンバー発表!
- 町クラブから選抜された選手たちがスペインで武者修行!バレンシアやビジャレアルなどと対戦
- 東北トレセンU-14が開催!
- 4種(小学生年代)を支える町クラブの存在意義とは? サッカーが日本の文化となるために改めて考えなおしたいこと














