香川、本田のパフォーマンスは落ちている? 日本人に求められる柔軟性
2014年10月10日
サッカーエンタメ最前線どんなスポーツにおいても、十分なパフォーマンスを発揮する上で土台となる身体づくりが重要だ。Oriental Physio Academy代表の波田野征美氏はこれまで、さまざまなスポーツ競技のアスリートのカラダを診察してきたが、その経験則から、本田や香川は柔軟性を欠いており、それがパフォーマンスの低下につながることを危惧している。
文●澤山大輔 写真●Getty Images
身体操作では、プロ野球が一歩リード
ご存知の通り、野球とサッカーは今や日本の二大人気スポーツだ。ワールドカップにおけるサッカー日本代表戦は記録的な視聴率をたたき出し、少年が行うスポーツにおいてもサッカーと野球は拮抗している。プロ野球は一時期人気低迷が叫ばれていたが、2014年の観客動員においてはセ・パ両リーグともに1千万人超を集客したと発表されている。
国際レベルにおいても、サッカーはUEFAチャンピオンズリーグやワールドカップを頂点としており、野球でも数年前から世界大会としてワールド・ベースボール・クラシック(WBC)が始まった。野球は第1回大会、第2回大会で連覇を成し遂げ、第3回大会でもベストメンバーとはいえない中でベスト4に入るなど、最強国の一つとなった。かたや、サッカーは海外でプレーする選手こそ増えたものの、ブラジルW杯ではグループリーグ敗退、ハビエル・アギーレ新監督就任以後の2試合でも発足直後とはいえ精彩を欠いている。

この2つの人気競技について、今回は「身体操作」という観点から考察したい。
以前より治療現場などで耳にする言葉として、次のようなものがある。「野球をやっている人は、どのスポーツも人並み以上にこなす」。実際、体育の授業などでレクリエーション的に他スポーツをやった場合でも、野球部出身の選手が難なくこなしてみせるケースはよく聞く。対して、他のスポーツ出身の選手で同様のケースを聞くことはそれほど多くない。こうした言葉が生まれる背景には、どういうものがあるのだろうか?
まずは、サッカーと野球の競技特性から考えてみたい。サッカーは、刻一刻と変化する環境に対し、臨機応変に対応することが求められる比較的“動的”なスポーツだ。ボールと自分との関係、敵・味方双方の選手との関係、試合展開など様々な要素が関わり、必ずしも正しい動きでなくても対応できる・せざるを得ないケースが多い。比較すると、野球は1球ごとにプレーが止まり、投手は常に決められた動作でプレーを開始し、打者も比較的決められた動作を行う“静的”なスポーツであるといえる。
一見すると、サッカーのほうがより難易度が高く、より高度な身体能力が求められるように思える。しかし、実際はそうではない。確かに運動の難易度は野球のほうが低いが、野球は“ベストのフォームができるか否か”がパフォーマンスに大きく影響する。ベストのフォームを反復して行うためには、高度な身体操作が求められる。特に松坂大輔の登場以降フォームの分析は一層進み、現在の野球の教則本ではフォームに関する書籍が多い。それに対し、サッカーの教則本において正しい身体の使い方・フォームを指摘するものは少なく、多くを占めるのは戦術本という傾向があるように思う。
実際に有名サッカー選手を診察した経験からも、正しい身体の使い方ができるサッカー選手はまだまだ少ないと感じる。以前、将来を嘱望されるある選手を診察したことがあるが、その身体操作はお世辞にも高いとは言いがたかった。それに対し、プロ野球選手の中には2軍選手ですら、身体操作の高い選手がかなり見られる。「日本ではまだまだ、優秀な素材はプロ野球に行くのだな」という感想を覚える。
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