ボールを奪うための“あと1歩”の勇気! 銀河系軍団を陰で支えるCL連覇の立役者カゼミーロの守備
2017年06月29日
サッカーエンタメ最前線史上初のCL連覇を果たしたレアル・マドリー。クリスティアーノ・ロナウドやギャレス・ベイルなどのスター選手に目がいきがちですが、最強の攻撃陣を中盤で支えていたカゼミーロの存在を忘れてはいけません。彼なくしてはレアル・マドリーのCL連覇はなかったかもしれません。ではいったい彼のどこが優れているのでしょうか。今回はカゼミーロのプレーを振り返り、その秘密に迫ります。
文●前田快/ジュニサカ編集部 写真●Getty Images
≪カゼミーロのプレー集≫
レアル・マドリーの中盤はクロース、モドリッチ、カゼミーロで構成されています。カゼミーロ以外の2人はゲームの組み立てや攻撃参加などをしてチームに貢献しています。では、もしカゼミーロまで攻撃に重点を置いていたら今シーズンのレアル・マドリーはどうなっていたでしょうか。MFとDFとの間に大きなスペースができてしまい、守備が崩壊していたことでしょう。つまり、彼は守備で黒子役に徹することでチームに欠かせない存在となったのです。
カゼミーロは冷静にチームの状況を把握し、自分の役割を全うしてきました。彼の役割は味方DFラインの前の全スペースをカバーし、ボールを相手から確実に奪い攻撃陣につなげることです。チームが前のめりになっているときにさりげなく自陣に残り、相手のカウンターに備えているカゼミーロをよく目にします。
カゼミーロというと恵まれた体格をいかして相手に体をぶつけてボールを奪うイメージがあります。確かに体を張って向かっていくことはボランチの必要不可欠な仕事の一つですし、彼の大きなストロングポイントの1つです。しかし、彼が優れているのはそれだけではありません。彼は1対1の粘り強さと、相手との距離を“もう1歩”詰めることでボールを奪っているのです。
相手がドリブルで攻撃を仕掛けるとき、様々なフェイントを駆使して抜きにかかります。カゼミーロは1対1で相手と対峙したとき、体の体勢を崩すことなく粘り強く相手についていきます。ドリブルのときに様々なフェイントを用いるのは相手の重心をずらし、体勢を崩すためです。カゼミーロは1対1のときには、しっかりと重心を低くして相手に対面し、粘り強く守備をします。
また、カゼミーロはスライディングをしてボールを奪うことが多い選手です。スライディングは相手にかわされたら、追いかけることができなくなるので守備側にとっては諸刃の剣です。しかし、カゼミーロは果敢にスライディングをします。彼がスライディングをするのは、1人で完全にボールを“奪いきる確率”を上げるためです。レアル・マドリーは攻撃に重点を置いた選手が多いため、味方と連携してボールを取るよりは1人で完全にボールを奪いきることが必要なのです。
そして、彼はスライディングを成功させるために、相手との間合いを考えて適切なタイミングでスライディングをします。このプレーは自分がボールを奪いに行くことができる範囲をよく知っていないとできません。相手にドリブルで抜かれるのを警戒して間合いを開けるのではなく、1歩詰める。この1歩を勇気を持って、詰めることができるからスライディングでボールを取ることができるのです。
このようにカゼミーロはチームの状況をしっかりと考えてプレーを選択しています。レアル・マドリーのように攻撃が強いチームに身を置いていたら、「自分も点を取りたい」と思うのは自然なことでしょう。しかし、彼はチームにとって、いま何が必要なのかを考え、攻める気持ちをぐっとこらえ守備に徹しています。自分の役割を意識してサッカーに取り組む彼の姿勢は子どもたちにも学べるところが多いでしょう。点を取るばかりがサッカーではないことをカゼミーロのプレーを見ていると感じることができます。
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